文香「ビタミンC」
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20:名無しNIPPER
2018/05/12(土) 22:19:56.39 ID:RrOmRxVI0


 階段の手すりに導かれるように、見慣れた先に向かう足

 ぎこちないこの身を引きずるように、いつもより重たいドアを押す手

 乾かぬ汗を責め立てるように、冷気が全身を阻む

 閉め切った窓の外など知らぬ顔をしたエアコンの冷たい風のせいか、この場所がまるで違う景色に見えました。
 普段からあまり人が多い場所ではありませんでしたが、今はより一層孤独を感じさせます。
 グラスは片付けられていましたが、二つ残った露草色は、あの時のまま。

 志希さん御用達の薬品庫はこの先です。
 それでもやはり足を止めずにはいられなくて、数時間前まで二人で向かい合っていたその白い天板を、そっと指で撫でました。




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