4:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:01:44.96 ID:xVphMpFA0
しかし――
彼女はどんなに疲れていようと、
どんなに体調が悪かろうと、
5:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:02:12.31 ID:xVphMpFA0
彼女は「ウサミン」。
地下のステージで特異な輝きを放つ彼女。
本名は知らない。
6:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:02:41.55 ID:xVphMpFA0
彼女のファンも少しずつだが増えていき。
常連たちと軽口を叩き合うような楽しい空間。
彼女が作りたかった世界がきっとここには完成していた。
7:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:03:10.35 ID:xVphMpFA0
――ある日を境に彼女は地下のステージに姿を現わさなくなった。
不思議に思うものは誰もいなかった。
ここはそういう場所だ。
8:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:03:38.17 ID:xVphMpFA0
「あぁやっぱり」
「よくある事だよ」
「残念だ」
9:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:04:13.55 ID:xVphMpFA0
――時は流れて数年後
社会人になった俺は毎日くたくたになって家に戻る。
学生時代に好きだったことをするような気力も無く、たまの休日は家で寝ているだけ。
10:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:04:56.39 ID:xVphMpFA0
安アパートの一室。
カンカンと音を立てて階段を登り、自分の部屋へとたどり着く。
スーツを脱ぎ、テレビの前にドカッと腰を下ろし電源を入れる。
11:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:05:52.98 ID:xVphMpFA0
このコメンテーターみたいに何かに夢中になれるということはもう無いだろう。
そんな体力はもう残っていない。
仕事をしながら好きな事をやるって大変だな…
12:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:06:28.01 ID:xVphMpFA0
野球は終盤になり、キャッツは逆転ホームランを食らってサヨナラ負け。
あのコメンテーターが打たれたピッチャーに向けて泣きながら罵詈雑言を吐いている。
「これ放送して良いのかよ…」
13:名無しNIPPER
2018/05/14(月) 21:07:23.82 ID:xVphMpFA0
「今年1位に輝いたのは……」
アナウンサーが読み上げ、画面に映し出されたのは……
あの日居なくなったはずの「ウサミン」だった。
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