【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
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687: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2018/12/15(土) 22:21:42.71 ID:f0IbpfH10
信じているのに、願っているのに、声は揺らいでしまった。
エリカの瞳が私の手と瞳を交互に見つめる。
流れる沈黙を、差し出してない方の手で裾を握りしめてぐっと堪える。
固唾を飲み込むのを必死で我慢する。
人生でこんなにも緊張したことがあるだろうか。
一瞬が永遠に感じる瞬間とはこういう事なのだと、どこか他人事のように感じたのは恐らくそれ故なのだろう。
やがてエリカの口が吐息をもらし、そっと目を伏せて、
エリカ「……すみません」
その言葉の意味を聞き返すほど私は察しが悪くなかった。
まほ「……貴女は、もっと向上心に溢れた人だと思ってたんだけど」
嫌味ったらしい言葉は無意識のもので、あまりにも情けない、無様な言葉だった。
なのにエリカは全くそれを気にしたそぶりを見せず、ただただ申し訳なさそうな表情をする。
エリカ「お誘いとても光栄です。強くなりたいって気持ちは本当です。あなたについていけるのなら、たとえ分不相応だとしてもついていきたい。そう、思ってます」
まほ「……ならなんで?」
明らかに声色の落ちた私の問いにエリカは決意を込めて答える。
エリカ「……強くなりたいから、留学とかの前にやらなきゃいけない事があるんです」
まほ「それは、何?」
エリカ「みほの、あの子の隣で、私は……あの子が率いる黒森峰を見たいんです。あの子の隣にいなきゃいけないんです」
まほ「……それだけのために、私の話を断るのか」
なんとなくわかっていた。エリカが断る理由はそれしかないと。
……『それだけ』じゃない『それほどの』理由なのだと。
エリカ「ええ。それだけのために。でも、私にとって大切な事です」
まほ「私と一緒に行った方がもっと進んだ戦車道を学べるぞ」
エリカ「違うんですよ。……そうじゃないんです」
エリカは指先をあごに当て思案するような表情をする。
そして納得したように頷くと、優しく私に微笑みかけた。
エリカ「技術とか、そういうのじゃなくてそう、これは―――――約束なんです」
まほ「約束……?」
エリカ「あの子に、『戦車道以外』を教える事」
まほ「……みほはもう、充分お前から教わっているさ」
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