渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
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7:名無しNIPPER[saga]
2018/06/08(金) 01:29:10.02 ID:I88sbQdx0
先に私がプレゼントを渡したからかもしれないけど、プロデューサーはちゃんと私の誕生日を覚えてて、お祝いもしてくれた。
まあ正直しばらく夏休みでお仕事もレッスンもなかったのに、八月の十日だけ事務所に行くことになってたから、ちょっと期待してはいたんだけど。
事務所に着くと、いつも2人で喋るときに使うソファの前の安っぽいテーブルに、どうみても安っぽくはない、それどころかかなり良いものって感じのするケーキが置いてあって、プロデューサーはなんでもない風に
「誕生日おめでとう」
なんて言った。
私はお礼を言ってからそれを食べたけど、何だか1人で食べてるのを見られてるのも心地悪くて
「プロデューサーも一口いる?」
なんてたずねたんだ。あれは失敗だったな。
何も気にならないみたいに、プロデューサーは
「いいのか?」
ってだけ言って、私が差し出したフォークで、そう、確かに私が差し出したんだけど、一口ケーキを口にした。それから顔色ひとつ変えずに
「うん、美味しい。良い店のだから美味しいはずだとは思ったけど、良かった」
とか言ってた気がする。
私は別に変にプロデューサーのことを意識してたわけじゃなかったし、間接キスとかそういうのに無頓着な方だったと思うんだけど、なんか1人で悶々としてた。
そして、食べ終わってしばらくして、プロデューサーは
「帰るか?」
って急に訊いてきた。
「夜は家族といたいかと思ってさ」
私は毎年誕生日は両親とハナコと過ごしてたから、たしか、特に躊躇うこともなく頷いたはずだ。
今思えば、あの年くらい、プロデューサーと誕生日の夜を過ごしても良かったかもしれない。
「じゃあ、改めてハッピーバースデイ」
そう言って私の家の前で首にシルバーのネックレスをかけてくれたプロデューサーは、そのまま車に乗って去っていった。
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