13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:53:03.92 ID:TXxgAIfuO
 「昔から変わっていない。という意味で、喜ばしいことなのでは?」 
 「悪いようにも取れるよ」 
 「そんな嫌味を言う方ではないでしょう」 
  
  訊ねるというよりは、確かめるように私は言いました。セイラムは「ま、そうなんだけど」と呟いて、座ったままオルガンに向き直ります。 
  
  おもむろに、鍵盤とスウェルペダルの上で、白い指と、黒い靴は踊るように。 
  
  音の箱にたくわえられた風は互いに混じり、溶け合って成長を経て、木管から華やかに旅立ってゆきます。聖堂の中、鮮やかに明るい音色が響きました。 
  
  賛美歌第二編129番――ひいらぎかざろう。 
  
  オルガンに置かれていた楽譜の、今日に披露を予定していたものではありません。弾くのはご無沙汰なはずですが、軽快な旋律はその空白を感じさせませんでした。 
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