26: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/15(日) 22:24:56.74 ID:ema8T1+O0
「じゃ、会社へ行くので」
ドアごしに洗面室の中へ声をかけると、すぐさまアンチョビの声が返ってきた。
「もう行くのか!? 朝食はどうした!?」
「会社でコンビニ飯。あんまり時間ないし」
「駄目だ駄目だ! パンを焼くから待ってろ!」
扉が開く。
アンチョビは髪を解きフリースのパジャマという出で立ちだ。ほう。
まだシャワーも浴びていないだろうに彼女は先程の恥じらいなど忘れたかのようにキッチンへ向かい、器用にフライパンで食パンを焼き、上にチーズとハムを載せた。
「完成だ! ほら、すぐできただろ!」
「絶対旨いやつじゃんこれ……」
実際に口に入れてみると、想像の倍ほど旨い。
数分で完食してしまったが、その間にアンチョビは洗面室の方へ消えてしまっていた。
俺はドアの向こうへ「今度こそ行ってきますよー」と投げかけて家を出た。
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