【バンドリ】白鷺千聖「…………」大和麻弥「どうしたんですか、千聖さん」
1- 20
5:名無しNIPPER[sage]
2018/07/17(火) 23:26:36.65 ID:sOF6k7pX0


 冷房の音。ごうごうと冷たい空気を吐き出す音。

 それが耳に付くようになったのは、もうこの水族館が閉館間際で、人がほとんどいなくなったからだろう。

 青いLEDライトで照らされた目の前の水槽。その中でフワフワ漂うミズクラゲを眺めながらそんなことを考える。

 関東某所の水族館のクラゲコーナーだった。

 お昼すぎに到着してから、少し館内を回り、このコーナーに着いたのは、確か六時間ほど前。

 それからずっと、私たちは水槽の前に設けられた椅子に座って、時には水槽を眺め、時には他愛のないおしゃべりをして、時には愚痴を吐き出し合ったりしていた。

 端から見ればまるでおかしな二人だったと思う。

 メインの大型水槽や、ペンギンさん、イルカさんのショーもあるのに、ただずっとクラゲの水槽を眺める女の子二人組。

 よっぽどのクラゲ好きか、現代社会に忙殺されて疲れ切った人。そんな風に見られていたかもしれない。

 だというのに、どうしてあなたはずっと笑顔でいてくれるんだろう。

 クラゲの水槽から右隣の横顔に視線を動かし、しばらくぼんやり考えてみる。

「……うん? どうかしたの、花音ちゃん?」

 その視線に気付き、彩ちゃんが私の方へ顔を巡らせて、小さく首を捻った。

「ううん、なんでもないよ」

 私はそれに首を振って答える。

「そっか」

「うん」

 クラゲの水槽に私は視線を戻す。彩ちゃんも同じように、目の前の水槽へと視線を動かした。

 それからまた二人は無言になって、ただ水の中をたゆたうクラゲを見つめる。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
24Res/28.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice