27: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:54:50.87 ID:+QmI8LWq0
 代わりにまゆは便座を下ろし、腰掛けてみた。 
  
 「ひぃっ!」 
  
 思わず叫んでしまう。扉に女。 
28: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:55:23.96 ID:+QmI8LWq0
 玄関のドアスコープから、様子を伺う。 
 人気はない。ニット帽を外す。 
  
 まゆは自分の身体が入る限界のせまさでドアを開け、外に這い出し、即座にドアを閉めた。 
 合鍵でロック。 
29: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:55:52.88 ID:+QmI8LWq0
 まゆは動揺していた。 
 改めて家の中の様子を振り返ってみると、あの家はおかしい。 
  
 トイレの鏡。 
 プロデューサーは自分が大好きなのかも。 
30: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:56:25.35 ID:+QmI8LWq0
 ・・・・・ 
  
 まゆがプロデューサーの家に“お邪魔をして“から、1ヶ月。 
 警察が女子寮に“お邪魔する”こともなく、まゆは一切の滞りなく、アイドル活動を続けた。 
  
31: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:57:02.47 ID:+QmI8LWq0
 春の陽光が、少し鬱陶しくなる頃。 
 まゆは、バラエティ番組に出演した。 
  
 他の事務所のアイドルが出演するはずだったが突然体調を崩し、まゆに代役の依頼が回ってきた。 
  
32: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:57:52.41 ID:+QmI8LWq0
 まゆは表面上はにこにことしながら、内心は焦っていた。 
  
 この番組をプロデューサーさんが見たら、まゆにがっかりするかも。 
  
 まゆはスカートを、周りから見えないようにぎゅうと摘んだ。 
33: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:58:36.77 ID:+QmI8LWq0
  
 収録時とは打って変わって、明確な拒絶が表情に現れていた。 
 嫌悪と恐怖。 
 まゆは裕子がプロデューサーに好意を持っていないことに安心し、また一方で彼女の態度に苛立ちを覚えた。 
  
34: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:59:11.76 ID:+QmI8LWq0
 ・・・・・・ 
  
 総選挙が終了した、5月末。 
 緊張した空気をほどくために、プロダクションのアイドル同士で食事会が催された。 
  
35: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 07:59:44.46 ID:+QmI8LWq0
  
 「いま人格をかえちゃうクスリをつくってるんだけど、まゆちゃんは欲しい〜?」 
  
 志希はまゆに尋ねた。 
  
36: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/07/23(月) 08:00:35.76 ID:+QmI8LWq0
 ・・・・・・・・ 
  
 蝉が低く唸り声を上げる夏の日。 
 まゆはプロデューサーにこう言われた。 
  
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