文學少女
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1:名無しNIPPER
2018/07/25(水) 02:16:47.26 ID:mp/be0j+O
空は仄かに白み始めていた。

手の動きを止めずに液晶の右下に映る数字を見ると、デジタル時計は午前四時を示していた。もう数時間もすれば、今日も快晴。きっと茹だるような暑さが襲ってくるだろう。

はぁ、と伸びをした後に、マグカップに入ったブラックコーヒーを口に運んだ。ペンで紙に綴っていたあの頃は飲めなかったのに、今となっては執筆のお供になっている。

喉を潤しながら並んだ文字を見ていると、当時の情景が浮かんでくる。

もう何年も書いてきた。それに、何遍も何遍も書き直した。それでも放り出す気になれなかったのは、きっとこの物語が私にとって特別だからだろう。

コーヒーで覚めた目を、何度か瞬きさせて気合を入れなおす。

もうすぐ迎える結末まで、私のこの生活リズムは変わらないだろう。それを思うと少し鬱屈した気持ちになるけど、一方で終わりを考えると少し寂しくもある。

それでも私は書かねばならない。それが私のすべきことだから。

コーヒーで覚めた頭で気持ちを奮い立たせて、再び画面に浮かぶ文字を紡ぎ始めた。

私と貴方の小説を。

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2:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 17:22:51.08 ID:e+N85h8HO
空は静かに夕暮れを迎えていた。

私がそれに気がついたのは、毎日午後六時に鳴る、下校を促すチャイムを耳にした時だった。

一日中窓際の席で小説を読み、読む本が無くなれば図書館に行くか、書店に行くか。これが私の高校生活におけるルーティンだ。今日もいつも通り、本を読み漁ってるうちに一日が終わったらしい。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage]
2018/07/29(日) 17:33:51.03 ID:vdaCKn1aO
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4:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 17:35:36.19 ID:e+N85h8HO
開き直って上履きのままで帰ろうかと思ったけれど、親が汗水流して稼いだお金で買って貰ったスニーカーを探さずに諦めるのは申し訳ない。

とは言え、こういう時にどこを探せば良いのだろうか。

思案して、とりあえず校舎裏のゴミ捨て場に行ってみることにした。ゴミ箱入りならそこにあるだろうし、校外であれば私には為す術もない。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 18:18:27.21 ID:e+N85h8HO
「お、こんばんは。こんな時間にどうした?」

それは貴方も同じでしょう、とは言わずに口の中で留めておいた。掃除時間はとっくに過ぎているし、彼が清掃活動に励むタイプだという記憶もなかったけど、今はそれどころではない。

「靴、探してて」
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 23:10:02.86 ID:e+N85h8HO
全てのゴミ袋を放り投げると、彼は戸を閉めながら「それじゃ、帰ろうか」と言った。

一緒に帰ろう、という勧誘なのか独り言なのか。繰り返すと私にはそういう友人がいないから、判断することはできなかった。

「それって、一緒にってこと?」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 23:18:25.23 ID:e+N85h8HO
そう言って、彼は手を差し出した。吊られて私も手を差し出すと、軽く手を握られる。

彼の指は少し固くて、男子ってみんなこんな指先なのかなと少し違和感を覚えた。

「それじゃ、帰ろうか」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 23:30:21.92 ID:e+N85h8HO
そんな雑談の中、興味本位なのか彼が尋ねた。どういいの、という質問はまた漠然としていて何とも返し難い訊き方だ。

「太宰とか、井伏とか……分かるかな?」

「太宰って太宰治? 名前くらいは分かるけど、読んだことはないなぁ」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/07/29(日) 23:39:55.06 ID:e+N85h8HO
高校に入ってすぐに、文学部のドアを開いた。中学では見つからなかった友人が、ここでは見つかるかもしれないと。

果たしてそこにあったのは、文学部というよりはオタク文化研究会だった。

棚に並んでいたのは可愛らしい挿絵が入ったライトノベルに、最近話題のアニメのDVD。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2018/08/09(木) 14:29:38.25 ID:u6QvXUI50
まだ?


11:名無しNIPPER[saga]
2018/08/11(土) 14:53:00.42 ID:0pc/1CL/O
「へぇ。まあ、君がそう言うならそれはそういうことなんでしょう」

一人で納得して、彼はまた話題を変えた。

「それじゃ、おススメ教えてよ。俺も読んでみるから」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/08/11(土) 15:09:56.20 ID:0pc/1CL/O
「斜陽?」

鸚鵡のように、彼は私の言葉を繰り返した。

「太宰の、斜陽」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/08/11(土) 15:18:23.54 ID:0pc/1CL/O
しかし、意外にもその結果はすぐに知ることになる。

週末を挟んだ月曜日、彼から読書中の私に話しかけに来たからだ。

これにはクラス中の人間がひどく驚いていた。それもそうだろう、誰かが私に話しかけることなんて、よっぽどのことがなければ今までなかったのだ。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2018/08/18(土) 12:18:24.60 ID:afsGi84h0
まってます


15:名無しNIPPER[saga]
2018/08/25(土) 14:32:33.22 ID:/rrbT0R0O
「お、笑った」

「笑った?」

「うん、この間はそんな笑顔見られなかったから」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER
2018/11/03(土) 09:28:01.43 ID:YudnrRhRO
石川くんには不思議な魅力がある。まだ話すのも二回目なのに向こうがオープンに接してくれているから、私も変に緊張せずに済む。

「そうなん? 意外だね」

「やっぱり、本ばかり読んでるし、ほら、私、暗いから……」
以下略 AAS



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