12:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 15:06:22.12 ID:YwSoJMOz0
がちゃり。
ファイナリストの会見がある部屋、その横にある一回り小さな部屋の戸が音を立て、人影が出てくる。
ああ、そっか。ちょうど前の会見も終わったところなんだ。ホントは荷物置いてから来るつもりだったけど、グッドタイミング。
人影は咲のものだった。
「ふぅ。あ、迎えに来てくれたんですね部ちょ……っ!?」
はて?咲が、まるで般若の面でも見たかのように強張る。
「ああ、お疲れさま咲。どうしたの?」
「いえ、あの……部長、なにかあったんですか?」
「え?」
ああ、そういうことか。いけない、顔が強張ってたのは私もなんだ。
とっさに表情筋を柔らげる。
「ごめんなさい、大丈夫よ。ほんのちょっと疲れてるだけ」
「そ、そうですか」
「ねぇ、咲。宮永照っての姉なのよね?」
「? はい、そうですけれど」
「決勝前にすれ違って、あれからなにかコンタクトはとった?」
「いえ」
「そう……もうちゃんと話すのは諦めてる、とか?」
「そ、そんなことは !」
「……」
咲がうつむく。ああ、違う、そんな顔をさせたくて聞いたんじゃない。
「ごめんなさい、意地の悪い聞き方だったわね。別に咲の気持ちを軽く見てるとかじゃないのよ、ちょっとした確認」
「確認、ですか?」
「そ」
「はぁ」
「……さて、戻ろっか」
「は、はい」
これではっきりした。いや元々半分は何となくわかってたんだ。
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