照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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189:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:34:46.73 ID:rr1Aanow0
まだ得心いかないというように、ゆみが唸る。なんてことはない、大人に限らず他の白糸台の生徒とかに聞かれる可能性も避けたいというだけだ。
と、そうだ。思えばこの学校の敷地に入ってから他の人に会っていない。もしかしたら私たちは入校の許可が出ていなくて、係員に見つかったら追い出されてこの勝負は流れるんじゃないだろうか。……なんて、流石にそんなことはしないけど。そうしたところで無駄ってのもある。あれだけ堂々と麻雀部の部屋を使っているんだし、鍵もたぶん職員室で借りているはずだ。許可を得ていないなら肝が据わりすぎているし、わざわざ無許可を得ないでいる道理もない。それに、勝負を流すなんて勿体ない。

「……そうだ。それより、用件だよ。あんなに強引に私を引っ張ってきたんだ。なにか話したいことがあるんだろう」

もちろん、勝算が浮かんだからここに来たんだ。

「ゴメン、痛くしちゃった? いや……ゆみには牌譜を持ったままでいてほしかったからね」

「牌譜? 今の勝負のか」

「そう。これで全部?」

ゆみの抱える紙の束を受け取りながら答える。

「ああ全部、いや白糸台側のしかないから半分だな。即席の物だから字も雑だし」

「十分よ。ありがたく拝見させてもらうわ」

連荘が多かったからか結構な量だけれど、お目当ての紙は一枚だ。東四局の宮永照の牌譜を探して一枚一枚紙をめくる。立ったまま書かれてものだからかところどころミミズのような字はあるが、全体として見るとおおよそ画一的だ。やっぱり人数が少ない部だと書き慣れてしまうらしい。


AGGHH一一五九九白中北 ツモ:白 打:北

AGGHH一一五九九白白中 ツモ:H 打:A

GGHHH一一五九九白白中 ツモ:中 打:G

GHHH一一五九九白白中中 ツモ;H 打:五

GHHHH一一九九白白中中 ツモ;九 打:G

HHHH一一九九九白白中中 ツモ;一 打:H

HHH一一一九九九白白中中 ツモ;D 打:D


これ……じゃないな。この牌譜は二本場のもの、見たいのは0本場だ。なにやら恐ろしいものを見た気がするが忘れよう。人は忘れることが出来るから平穏に生きられるというものだとか、どこで聞いたかは思い出せない。



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