照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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201:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:51:01.82 ID:rr1Aanow0

「久……、まさか君はそんなことを言うためにわざわざこんな話をしたのか」

「筋は通るでしょ?」

「ああ、結論だけ先に言ってくれれば即行で同意していたがな。えっと、冗談だよな? まさかそんな普通なことを言うためにここまでの話があったわけじゃないよな?」

凹む。せっかくここまで事細かにしゃべったというのに。なんで凹むって、薄々そういう反応が返ってくる気がしてたからだ。

「悪かったわね……。しょうがないでしょ、先入観なんて誰にでもあるもの。なんとなくだけど、モモちゃんの言う鏡は、相手の内面を目視するときのエフェクトのようなものかと思ってたのよ」

「たぶんマイノリティだよ、その発想。まあ多数派でも正しいとは限らないからいいんだが」

拍子抜けしたとでも言いたげに、ゆみが前髪をかく。

「それで、思いついた作戦ってのは? 片岡さんの今の技量が誤認されてるとして何か活きるのか。もう次は南場だよ」

ちょっと恥ずかしい想いをした。間抜けなところを晒したんだ、ここから名誉挽回しなければ。

「優希の話は説明のためのものだからね、直接は関係ないわ。策のために、もう一個聞いておきたいことがある。こっちは手短にいきたいんだけど、昨日公園でモモちゃんと話してたときのこと思い出して」

「公園でモモと、というと盗み聞きしてたことか」

「違うわよ……。もう忘れてあげたら?」

「そうか。他に話にあがったことというと……照魔鏡のことでまだ何かあるのか」

「いいえ、それも違う。私が言いたいのは、モモちゃんの持っていた猫のこと」

「猫? ああ、持っていたなそういえば」

「あのときのモモちゃんって猫を持っていてもなお、二回目の鳴き声が発せられるまで私たちに気付かれなかったわけでしょ。でね、ゆみ。思ったんだけど、猫でそれが出来るなら、他の生物でも出来るんじゃない? 例えば、人間一人を周りに気づかれずに私の後ろに現れさせるとか、さ」

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「……ぷはあっ……はぁ……。うわっ、大丈夫っすかチャンピオンさん。これ、もしかして私のせいっすか……」

弘世さんの目が円を描く。状況がのみこめていないようだ。誰もいなかったはずの空間に見覚えのない人物が現れたのだから、無理もない。
その人物が変に自責の念に駆られないように言っておこう。

「ううん。直接関係はないわよ。手伝ってくれてありがとうね、助かったわ」

「そうっすか? まあ昨日のお詫びの足しにでもしといてくださいっす。人ひとりとなるといつも以上に存在感消さなきゃいけないんで大変っすから」

「お姉ちゃん……」

「ここまでお疲れ様。モモちゃん、咲」




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