照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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25:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 15:59:37.51 ID:YwSoJMOz0
足がかかった相手に頭を下げ、咲が扉に向かっていく。その後ろ姿が見えなくなるのを見届けて、まこが話を切り出してきた。

「それで?」

「ああ、さっきの買い物の値段なら覚えてるわよ。今渡しちゃうわね」

「はぐらかすならもっと丁寧にやらんか」

手厳しい。
残った一年生たちに視線を向けると、話題はなにやら須賀くんがハギヨシさんや美穂子に習ったらしいクッキーやらパンケーキやらに移っていた。意外にも優希より和が食いついている。

そのまま二秒ほど凝視すると、視線の意図が伝わったのかまこが声のトーンを落とす。

「今度はなにを企んどるんじゃ」

「心外ね、別になにも」

「ちゃんと話せばわしのもん出汁にしたのは多目にみたるが」

うぐ。正直あんまりおおっぴらにしたくない話だけど、ここでまこに話さないのは確かにダメなんだろうな。

「悪かったわ。ただちょっと、咲が姉と話すための後押しをね」

「後押し? なんで傘取りに行くのがそうなるんじゃ」

「私と咲が戻ってきてから20分くらいでしょ? そろそろ個人戦決勝組のインタビューが終わる頃なのよ」

「はぁ。まさか、それで都合よく咲が姉と遭遇する言うんか」

呆れたような視線がまこから向けられる。そりゃそうだ、普通は起こり得ないし仕方ない。普通ならば。

「そんなタイミングよく終わらんじゃろ、実際和のときは時間延びとったし」

「まこ、私の麻雀のスタイルは?」

「うん? なんじゃ藪から棒に、悪待ちのことか?」

「そう、だから咲に一人で行かせたのよ」

「話が見え……いや、そうか。『咲一人で出歩かせるという悪い待ち』っちゅうことか」

「うん、そんな感じ」

私の悪待ちは、ジンクスというよりはもはや特性と言っていい類いのものだけど……どうやらその特性は麻雀以外でも発揮されるらしい。


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