照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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5:名無しNIPPER
2018/07/27(金) 14:50:54.44 ID:YwSoJMOz0
「やっぱり、ホントに迷子なのね。よかったら案内しましょうか?」

返答を考えているのか二秒ほどの間を空けて返事がくる。

「オネガイシマス」

「ん、トイレでいい?」

「いや……出来れば会見のところのほうで、あと五分くらいしかないから」

「りょーかい、じゃあ行きましょうか」

そう言っていま来た方向に向きを変えると、宮永さんが二歩三歩後ろをついてくる。

ちょっと寄り道することになったけど一応人助けだし、皆も許してくれるはず。幸い、アイスの類いは買ってない。


「宮永さんって方向音痴なの?」

「む、心外。そんなことはない」

「あっちの方角わかる?」

前後の位置では話しづらい、軽くステップを踏んで後ろ歩きに切り替える。

「…東」

「……」

「じゃない、西」

「……」

「やっぱり東」

「どっち?」

「ひ、東」

「ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー」

「……うん、オッケー」

ふぅ、と宮永さんが息を漏らす。ひょっとして、オッケーと言われて安堵したとかだろうか。

「麻雀やってるとたまにこんがらがるよね、東と西」

「ん? ええ、そうね」

答えが交互した弁明のつもりなのか、自分の発言にウンウンと頷いている。
ちなみに答えは北だ。



「えっと、地図とかは?さっきのとこにもあったと思うけど」

「さっきのとこ? ……ああ、あったね。チーズケーキ味、美味しそうだった」

アイスの話はしていないはずだけど、もしやジョークなんだろうか。彼女が真顔で言うので判断かね、スルーを決め込む。

「よくチームの人達とはぐれてたりとかない?」

「あるね。気付いたらいなくなってるとかたまに、いや結構あるかも。うちの部長にはもっとしっかりしてもらいたい」

やれやれ、とでも言いたげに宮永さんが目を細める。なるほど非常に共感できる。心労お察しします弘世さん。


「この前も虎姫で縁日に行ったとき、私がわたがし買ってる少しの間ではぐれるし世話が焼ける」

「へぇ、それは大変ねー」

「……冗談デス」

ありゃ、認めた。さすがに相槌が雑だったんだろうか、目線が右往左往と泳がせている。
ところでどこから冗談なんだろうか、出来れば出会い頭からであってほしい。


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