25:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:40:35.68 ID:h/NAro9Ho
 やよい「だから、全部本当のことなの。伊織ちゃんのと、私の、全然違うって……。 
    ネクタイだけじゃなくて、他のいろんなものも。 
    でも伊織ちゃん、優しいから、今まで言わないようにしてくれたんだよね? 
    私が持ってるものとか、全然ダメだーって思っても、言わないように……」 
  
 伊織「ち……違うわ! 私、そんなの思ったことない!」 
  
 私は必死に、半分怒ってるみたいに、やよいの言葉を否定した。 
 だけどやよいは、やっぱり、笑ったままで、 
  
 やよい「えへへっ……ありがとう。でも、無理しないで? 
    伊織ちゃんは私と違ってお金持ちなんだから、私のことなんて……」 
  
  
   『私と違ってお金持ちなんだから』 
  
  
 その瞬間、私はやっと、自分がどれだけやよいの心を傷付けていたか知った。 
 そしてそれは多分、昨日のことだけじゃない。 
 やよいの前で、自分の裕福さを鼻にかけるような言動をしたことがなかったか。 
 価値観の隔たりを意識させるようなことがなかったか。 
 きっと、何度だってあった。 
 そうやって重ねられた目に見えない壁の存在が、 
 昨日の私の言葉で、やよいの心に深く、深く、刻まれて……。 
46Res/26.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20