219: ◆B54oURI0sg[sage saga]
2019/03/27(水) 01:16:01.20 ID:OVYeofFDO
 >>216から 
   
   
 『いやあぁぁぁ!やめてぇぇぇ!』 
  
  
 部屋にY子さんの絶叫が響き渡る 
  
  
 「往生際が悪いです。いいから大人しくしていてください」 
  
  
 『往生してるのは朝ちゃんもじゃんかぁ…お願いだから考え直してよぉ』 
  
  
 いつに無く情けない声で懇願する彼女。しかし私は断固として拒否 
  
  
 「駄目です。諦めてください。この炬燵は片付けます」 
  
  
 『しょんなぁ…』 
  
  
 私の名は朝潮。幽霊生活数ヶ月の新米です。そろそろ炬燵の季節じゃないので片付けましょうかと言った所この有り様。炬燵の魔力は彼岸も此岸も関係無いようで 
  
 1◇ 
   
   
 「だいたい眠りたいなら部屋にベッドがあるじゃないですか」 
  
  
 『それとこれとは別なんだよぅ…朝ちゃんは炬燵が恋しくないの…?』 
  
  
 「確かに快適ではありますがもう春なんですからそういうのはきっちりするべきです」 
  
  
 『ここでは四季なんて関係無いと思うんだけど…』 
  
  
 ここは三途の川の片隅に作られた家。夏も冬もあまり変わらない気候…というかここに居ると正直季節感どころか時間の感覚も曖昧になりそうになる 
  
  
 だからこそしっかり日付を確認してそれに見合った状態にするべきだ 
  
  
 『くぅ…この真面目ちゃんめぇ…』 
  
  
 そう言った私に諦めたように項垂れるY子さん。ちょっと罪悪感…いや、ここで折れたが最後、きっとずっと出しっぱなしになるに決まっている 
  
  
 そうして私はてきぱきと炬燵を仕舞いようやく洋室らしさを取り戻した部屋を見て満足するのだった 
  
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