杉山「大野なんて死ねばいいのに」
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22: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/04(土) 01:43:38.84 ID:nCh+XXic0
残暑が掻き消えて、秋が深まった。

夏休みにもっとやっておけばよかったという後悔がつのっていく。
だがそんな後悔をしている暇すらない。
俺は大野に大分差を取られていて、それを埋めることが全くできていなかった。

今のままだと少し苦しいぞ、と教師に言われる。

その傍らで大野のほうは、大分余裕そうだなという言葉を聞く。

模試の結果を握りしめた。
慌てて開いて判定を指でなぞる。

C。

可能性としては十分だと、人は言うかもしれない。
でも。
大野に与えられているアルファベッドは、A。

当たり前だ。あんなにあいつはまじめにやっていたのだから。

単語帳を広げながら帰路につく。
俺はまた、重圧や劣等感に憑りつかれるようになっていた。


大野「杉山、滑り止めの私立みにいかね?」

寒いと両手をこすりながらそう大野が俺に言ったある冬の日。

杉山「お前に滑り止めなんて必要あるの?」

大野「そりゃ落ちないつもりで勉強してるけど何があるかわかんねぇし。」

杉山「…どこでもいい、第一志望以外のこと考えたくねぇ」

また楽な方に流れようとし始めるかもしれない自分が怖かったのだ。

大野「わかった。じゃあすべ滑り止めここな。内申おまえも足りてるだろ?」

杉山「えっ、大野までそんな簡単に…」

大野「べつになんだっていいよ。」

だって落ちるつもりないし、と自信ありげに微笑んだのは大野は、やっぱり今の俺には嫌味なほど眩しかった。


大野と俺の元カノが一緒に居たという情報が流れてきたのは入試直前の日だった。
持っていた単語帳を思わず地面に落としてしまったくらいに動揺した。

大野に直接尋ねると「ああいたよ」と軽く返された。
告白されてた、断ったけどな。
と白い息を吐く。

あまりにも当たり前のように、そして俺の元カノもたくさん寄ってくる女の一人でしかないと、そう俺には聞こえた。

言葉を探して、見つからなくて。

俺は自宅で一人延々と泣き続けた。




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