巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」
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逆転の人
◆SxyAboWqdc
[saga]
2018/08/27(月) 21:00:52.89 ID:MWohMAcL0
白銀「もうこの学園には、私たち二人だけ」
白銀「随分減っちゃったなぁ……地味にビックリだよね。これだけの人が死んで、私たちはまだ生きてる」
天海「……そうっすね」
白銀(そこから起こるすべての悲劇も知らず、二人とも笑顔だった)
白銀(……あのときの空、曇ってたけど、明るかったな。赤以外でまともに見る、地味だけど優しい色彩)
白銀「……ねえ。天海くん。約束だよ?」
天海「?」
白銀「次の学園生活……絶対に私を――」
白銀「忘れないで。忘れても、きっと思い出してね」
天海「……うん。約束っすよ。次にどんなことがあっても俺たちはもう友達っすから!」ニカッ
天海「だから……安心して……安、心して……!」
天海「……ごめん。キミを、助けられなくって……死んでいったみんなのためにも、今を生きてる俺たちだけでも生きなきゃダメだったのに」
天海「俺は……俺、は」ポロッ
白銀「……」
白銀「うん。安心した」
天海「……?」
白銀「私たちは仲間のために泣けるんだよ。だからさぁ……嘘、だよね。どちらかがこの学園の首謀者になっちゃうとかさ」
白銀「絶対に嘘だよ……嘘に決まってる」
天海「……」
白銀「ごめん。天海くんが泣いてるのならさ、私はせめて笑ってないとダメなのにさ……!」
白銀「二人とも泣いてたら、二人とも役立たずじゃない? どっちかは真っ直ぐ立ってないと……」
白銀「……ううっ」ボロッ
天海「もう……いいんじゃないっすかね。二人して泣いても」
天海「強いから生き残れたわけじゃない。ただ運が良かっただけなんすから……!」
天海「……■■さん」ザザッ
白銀(……私には名前がない)
白銀(覚えているのは前の学園での才能。『超高校級の模倣犯』)
白銀(全体的な容姿すら、前の学校のときとは大分変わっているはずだ)
白銀(だけど、もはやそんなものに意味がない。私はもう、誰でもない)
白銀(……思い出されるべき名前すら失ってしまった)
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