70:名無しNIPPER
2018/08/17(金) 00:31:33.63 ID:+K74wEm20
コンクリート塀の曲がり角を右に曲がった所に“それ”は居た
馬の様な生物に乗っていた。二メートルを超す体躯に漆黒の毛並み。体中に鎖が巻かれ、本来鬣のあるべき首の後ろには血濡れになった剥き出しの骨が突き刺さっていた。
“それ”は黒いローブで全身を覆っていた。痛々しいほど曲がった背中。ちらりと隙間から除く腕や顔には肉が無く、全てが白みがかった骨そのものだった。
骨で出来た掌には一本の鉄鎌が握りしめられていた。禍々しい見た目だった。馬上からでも先端が地面へと触れてしまうほどに柄は長大、剥き出しとなっている白銀の刃は、側面、刀身、逆刃、あらゆる箇所に無数の傷が存在していた。
馬の体には多くの生傷が刻みつけられていた、乗者がその傷を、何のためらいもなく蹴り飛ばすと馬は痛みからか怒り狂い、暴れ出す。その動きを乗りこなしたまま“それ”は気が狂ったように鎌を振るい、その場にある草を、花を、動物を、全ての魂を砕かんと振り回していた。
異様な光景だった。そこにある全ての命が、そこにあるというだけで傷つけられ、破壊されていた。
“それ”がこの一連の事件の原因だということは、その異常な光景から痛いほど理解できた
一目で判断が付いた。彼もまた、命を奪う『死神』であり、現世での魂の成れの果て『悪霊』であると
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