前世で評価される話
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6:名無しNIPPER
2018/08/22(水) 21:54:20.91 ID:Lk7EkXPWO
「つまり先輩は、前世のおかげで美味しい思いをしておきながら、それを否定したいわけですね」

前世研究会の後輩である、折原綾子が口を開いた。

彼女は今年の新入生で、僕以外では唯一の会員でもある。三年前に僕が入会した時も、四年生に一人先輩がいただけだった。

履歴書研究会と同じようなニュアンスのものだ。そんな珍妙な会に入る物好きは、いくらマンモス大学であっても四年に一人が関の山らしい。

今年に至っては募集らしい募集もしていなかった。先輩が作るだけ作り、自動投稿の設定をして放置していたSNSを引き継いだところ、彼女という物好きが奇跡的に反応をしてくれたのだ。

二人しかいない研究会に割り振られるサークル室なんてあるはずもなく、空き教室は軽音やらボードゲームやら、真っ当に青春をしている学生に選挙されていた。

彼女が入部して以来、僕たちは学食で語り合うのが常だった。ちなみに先輩が卒業して彼女が入るまでの三年間は、活動は行っていなかった。一人で文献を読み漁るほどの熱意は持っていなかったからだ。

騒々しい学食の中で、折原は言葉を続けた。

「普通、先輩くらい優遇されているなら、前世を好みこそしても憎みはしないでしょう」


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