10: ◆K3Kbcj/nTY[saga]
2018/08/31(金) 21:15:09.27 ID:fSt5IFCp0
*
ようやく日差しのピークを越したといった午後三時過ぎ。
外とは打って変わって秋口のような涼しい店内に入ると、秋葉原を象徴するような萌えを前面に押し出した景色が広がる。
メイド服。猫耳。女の子。
老舗といいつつ最近出てきた同じ業態の店に引けを取らないぐらいの圧倒的アキバ感を醸し出すメイド喫茶――フェイリス、そしてまゆりが働くメイクイーン・ニャンニャンだ――に俺たち二人は足を踏み入れたのである。
大体はダルやフェイリス、まゆりに会うために来ることが多いこの店だが、今回も例に違わずフェイリスに会いに来たのだ。
先に入った俺の後から視線を左右に揺らしながら入店する。
俺とは違い紅莉栖は未だにこのメイクイーン・ニャンニャンに慣れていない様子で、いつもの堂々とした態度は僅かながら影を潜めていた。
「おかえりニャさいませ、ごしゅ――あ、キョーマとクーニャンニャ!」
遠くからでも聞き分けができる独特な声が、レジ横からなんともそれっぽい仕草の本人とともに現れる。
「ククク……フェイリスよ、調達任務ご苦労だったな」
鳳凰院凶真のベストスタイルである白衣をはためかせ、ぱたぱたとやって来たフェイリスに挨拶する。
「大丈夫ニャ! 来るべき『厄災』を打ち砕くための修行に使うのなら、フェイリスは全力で手伝うニャ!」
「そうか……お前も既に『気づいていた』か……」
あ、しまった。
44Res/52.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20