1: ◆Xz5sQ/W/66[sage]
2018/10/31(水) 19:57:10.67 ID:Q33A0XWw0
前略。
すっかり外も暗くなって、本日も賑々しい
一日を過ごした劇場からアイドル達が家路に向かうような時間。
「プロデューサーさん、さようなら!」そう言ってすれ違う少女たちの横顔に
「ああ、気をつけて帰るんだぞ」と手を振り返しながら廊下を進む。
中には「先にお店で待ってるわよ!」なんて
今夜も飲みのお誘いをしてくれるありがたいお姉さんなんかもいる。
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2:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 19:58:10.79 ID:Q33A0XWw0
「このみさん、今日も飲むんですか?」
そう、立ち止まった俺が腕時計を確認しながら問えば。
3:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 19:59:15.12 ID:Q33A0XWw0
「甘い、甘いわプロデューサー。佳境だからこそ今はお酒を飲むの。
この昂りに昂った仕事へのテンション、芝居へかける強い情熱!それを維持し続ける為にも私は飲まなきゃいけないのよっ!」
「……そうして、最後には酒で身を持ち崩しちゃうと」
4:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:00:52.04 ID:Q33A0XWw0
ああ言えばこう返して来るのである。
まるで口達者な姉に丸め込まれる、立場の弱い弟になったような気分だな。
……いや、それを迷惑に感じるってことはないのだけど。
5:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:01:37.32 ID:Q33A0XWw0
===
さて、一旦このみさんと別れると、俺は劇場の見回りを再開した。
足早に歩きながら窓の戸締りに忘れ物の確認。
6:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:02:27.01 ID:Q33A0XWw0
だから一声かけておかないとな、なんて扉を開けて中に入った瞬間だ。
「危ないっ!」
7:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:03:23.20 ID:Q33A0XWw0
「なんですか、じゃないだろう。質問したいのはこっちの方さ」
言って、乱れた髪を恥ずかしそうに直す彼女の前まで歩いて行く。
8:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:04:29.06 ID:Q33A0XWw0
事前に慣れておこうと思ったんです、琴葉の言い分とはそういうものだった。
でも、だからって一人きりでこんな。
9:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:05:07.31 ID:Q33A0XWw0
「……だから、今度からは俺に一声かけるように」
「えっ?」
10:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:06:16.95 ID:Q33A0XWw0
笑って彼女の後ろに回る。足元には万が一のマットレス。
少しだけ腰を落としたなら「いつでもいいぞ」と声をかける。
――しかし、自分から提案しておいてなんだけれど、
11:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:07:16.40 ID:Q33A0XWw0
――が、そのまま俺はしりもちをついて。
「きゃっ!?」
12:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:07:59.59 ID:Q33A0XWw0
なんて、彼女は謝るように言うのだけど、その体はだんだん俺の胸の上で重さを増していくようだし、
なんならさっきよりも少し、彼女の座っている位置が深くなっているような気だってする。
するとその、密着なんて言葉すら生ぬるい程に近づきすぎた二人の距離は、
13:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:08:51.42 ID:Q33A0XWw0
「こ、琴葉? ……そろそろ落ち着いたんじゃないか」
だからこそ俺は、抑止の意味も込めて彼女に声かけたのだけど。
14:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:09:43.84 ID:Q33A0XWw0
けたたましい電子音に驚き琴葉が素早く飛び退いた。
俺も慌ててポケットをまさぐった。
取り出したスマホの画面に『このみさん』の文字。
15:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:10:31.33 ID:Q33A0XWw0
「また私、プロデューサーにご迷惑を……」
そう言う彼女の顔は暗い。
16:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:11:21.50 ID:Q33A0XWw0
「ただ今日は、もうこれ以上君を残しておけないな。……残念だけど随分遅くなっちゃったもの」
こちらの意図は正しく伝わったのだろう。
「そうですね」と琴葉は頷き、いつものように笑うと自分の格好を見下ろして。
17:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:13:22.09 ID:Q33A0XWw0
「プロデューサー」
すると一瞬、ほんの一瞬だけ、俺のことを呼んだ彼女は困ったように眉をひそめ。
18:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:14:10.92 ID:Q33A0XWw0
もう完全に開き切った扉の陰に、その半身をしゃなり滑り込ませてこう続けたんだ。
「明日も付き合ってもらえますか? ……そんな顔を他の子に見られたら恥ずかしいから、できれば二人きりで、個人練習を」
19:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 20:19:23.95 ID:Q33A0XWw0
===
以上おしまい。イベントお疲れさまでした。
例のアナザーアピールを見た時から書きたかったネタを
たまには重たい琴葉でこんな形に。
20: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2018/10/31(水) 20:28:04.71 ID:Jzm8Sz8r0
琴葉.....
乙です
>>2
馬場このみ(24) da/An
21:名無しNIPPER[sage]
2018/10/31(水) 21:45:30.05 ID:HaUtP1svO
控え室がマッシュでドレスアップルームがオルテガかな
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