バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
��↓ ��1- ��覧 ��板 ��20
425: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2018/12/20(木) 00:25:32.41 ID:nZCc8mKv0



 ベオウルフは大きく踏み込んだ。得物に対して、近すぎる間合いだ。その戦闘経験の豊富さから、フィンは戸惑いに囚われる。この距離で剣を振り抜いても、効果的なダメージなど……。

「源流(グレンデル)」

 その瞬間、荒々しく踏み込んだ英雄は、両手から剣を捨てた。フィンは気付く。自分は致命的なミスを犯した。目の前の豪傑が得意な戦法は、武器を持った戦いではなく……!

「闘争(バスター)!!!」

 鉄拳に頬を打ち抜かれるのを感じながら、フィンはたたらを踏む。これで到底終わりではない。ベオウルフは拳を引き戻し、更に殴りつける。鳩尾。更に殴りつける。胸。更に殴りつける。キドニー。キドニー。喉元。脇腹。脇腹。脇腹。鳩尾に強烈な一発。

「がっは……」

 血を撒き散らしながら、フィンは倒れかかった。だが倒れればすかさずトドメの一撃に持ち込まれるだろう。それだけの気迫が、ベオウルフにはある。踏ん張りながら、フィンは遠い日々を目に映す。フィオナ騎士団としての栄光の日々。めとった最初の妻。一番槍、ディルムッドとの出会い。妻の死。悲しみ。二人目の妻。二人目の妻が、ディルムッドを好いていたという事実。ディルムッドとのすれ違い……そして、彼との後悔にまみれた別れ。


 フィンは耐えた。倒れるわけにはいかない。彼は台風のようなラッシュをその身に受けながら、朦朧とする思考を回転させる。人は死の直前に走馬燈を見るという。それは何故だ。後悔なくあの世へ旅立つためか? それとも……?


「終わり、だァ!!」


 岩盤をすら砕くかのような一撃をモロに腹部へ受けながら、それでもフィンは立っていた。ベオウルフの拳が腹から引き抜かれ、フィンはもがきながら後退る。白目を剥き、口の端から血を流しながら、彼は限りなく死へ近付いた。


(死ぬのか?)


 彼は奔流じみた走馬燈の中から誇りを掴み取り、生のほとりに留まろうと足掻いた。彼にとっての誇りとは何だっただろうか。それは武勇だったかもしれない。それは名声だったかもしれない。


(((──私がお前を守ってみせるとも)))


 しかし、彼は愛を選んだ。それこそが彼の足を運ばせ、死を少しだけ遠ざけ、ひとりの騎士としての意地を思い出させた。


 技の反動に耐えながら、ベオウルフは目を瞠った。確実に殺したはずの相手が、よろめきながら、血を吐きながら、それでも歯を食い縛って立ち続けている。しかも不敵な笑みまで浮かべている。


「ようやく、宝具の分の魔力が、溜まり切った……」


 ベオウルフの宝具を受け切ったフィンは、その身に叩き込まれた魔力を利用。みずからの宝具の助けとし、震える腕で槍を構えた。


(マズい)


 フリーズを攻撃していたフェルグスがそれを見、瞬時に判断し、大技の反動で動けないベオウルフを庇いに回る。フィンの宝具は強力だが、受けきれないほどではない。このまま防御し、その後に反撃すれば良い。


「堕ちたる神霊をも屠る、魔の一撃」


 フェルグスが剣を横に構え、万全の防御姿勢を取る。フィン・マックールの真に恐るべき能力は治癒と智慧であり、その宝具ではない。ならば当然受け切れる。それまでにはベオウルフも反動から脱している事だろう。楽ないくさだ。だが、フェルグスは言葉にならない不吉な予感を禁じ得ない。


「その身で、味わえ!! 『無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!!』」


 フィンが構えた槍から飛び出したのは、高圧水流じみた水の魔力だった。その直撃を防御しながら、フェルグスは耐える。やはり威力自体は大したものではない。横に構えた大業物『カラドボルグ』に当たった水の奔流は、砕かれ、辺り一面に撒き散らされる。

 フィンは出力を最大に保ち続ける。だがカラドボルグは砕けない。フェルグス愛用の魔剣。一振りで丘三つを斬り飛ばす逸品。どうして水の奔流で砕けるハズがある? フェルグスは笑おうとし、特大の嫌な予感に顔をしかめた。吐く息が白い?


「よくやってくれた、フィン」


 ボロボロになった極低体温スーツの中、フリーズが呟いた。フリーズ・ガンの銃口がこちらへ向いているのを見たフェルグスは、敗北の闇が足元にぽっかりと口を開いたのを感じ、半ば呆けたように表情を弛緩させた。ベオウルフは苦笑しながらフィンを見つめていた。


 十分な水気を含んだ空気は、ケルト兵達、ベオウルフ、フェルグスを巻き込み、一瞬で凍り付いた。






<<前のレス[*]|次のレス[#]>>
841Res/551.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice