38: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/15(土) 13:46:24.49 ID:kZJKvpHt0
 「……」 
  
 「だいじょうぶだって。約束を破ったのはママのほうなんだから、仁奈ちゃんはなにも心配しなくていいんだよー」 
  
 「……てくだせー」 
39: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:21:07.99 ID:kZJKvpHt0
  ✉  
   廊下からバタバタと走る音が聞こえる。  
   ライブを成功させるため、スタッフが奔走している音だ。  
   そして、それに負けないくらい、控室もドッタンバッタン大騒ぎ。  
    
40: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:23:25.81 ID:kZJKvpHt0
 「仁奈ちゃん、ママが来てくれるって喜んでて、そのためにレッスンがんばってたんだよ。だったら、呼べばいいと思わない? 
 なのになんで嫌がったの? なんで? わかんない。ねぇ奏ちゃん。あたし、どうするのが正解だったと思う?」 
  
 「知らないわ」 
  
41: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:25:12.19 ID:kZJKvpHt0
  
 「シキちゃん、クイズしよー」 
  
  部屋から出ようと椅子から立ち上がった直後、後ろから熱いハグが飛んできた。 
  振り向くと、見慣れたキレイな金髪、宮本フレデリカの姿がそこにあった。 
42: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:27:44.85 ID:kZJKvpHt0
  ……。 
  あたしにできることなんて今更なにもない。 
  あたしの顏なんて、仁奈ちゃんは見たくもないかもしれない。 
  それなのに、あたしはなんで走ってるんだろうか。 
  疑問の解は出ない。だけど、あたしの体は勝手にステージに近づいていく。 
43: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:29:35.65 ID:kZJKvpHt0
 「あたし、知ってるよ。キミがいっぱいがんばってきたこと。あたしじゃママの代わりになんてならないかもしれないけど、 
 ここで見てるから。だから、キミならできるよ」 
  
  あたしの口から出てきたのは、そんな言葉だった。 
  支離滅裂で論理性の欠片もない、少年漫画にありがちのチープな科白。 
44: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:31:52.87 ID:kZJKvpHt0
  
  …………。 
  ……。 
  
  あのあと。 
45: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:33:48.04 ID:kZJKvpHt0
  ぐすっと鼻をすする音が聞こえた。 
  あたしはしゃがんで、仁奈ちゃんと目線を合わす。 
  
 「仁奈ちゃん、着ぐるみ以外の趣味ってある?」 
  
46: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/15(土) 17:35:20.77 ID:kZJKvpHt0
  仁奈ちゃんの大きな瞳にみるみる雫がたまっていく。 
   
  ああ、泣きそうな顔になっちゃった。 
  こういうときってどうすればいいんだろう。 
  母親ってどうするもんなんだろう。 
47: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/15(土) 17:36:19.63 ID:kZJKvpHt0
 本日はここまで。 
 折り返し地点。まだ続きます。 
  
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