6: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2019/01/01(火) 04:34:54.91 ID:pAwLlUB80
ダイヤ「だ、だれですか!?」
少々面食らって、思わず声を荒げた。
……これも今考えてみれば、なのですが……黒澤の娘たるもの毅然と振舞うべしという訓え故に泣き顔を見られるのは酷く恥ずかしいことだと思っていたからでしょう。反射的に自分が弱った姿を認められて威嚇してしまったのだと思います。
ただ、目の前の少女はそんなこと気にも留めず、
ちか「えっとね、ちかはちかだよー」
ダイヤ「ちか……」
ちか「あ、えっとね! ちかはとちまんの『ち』に『か』ってかくんだよ! えっへん」
ダイヤ「……?」
全く説明になってない名前の説明に、眉を顰めましたが……。
『とちまん』という特徴的な固有名詞は子供のわたくしにも多少の聞き覚えがありました。
挨拶回りに行く場所にもある旅館の名前。
どうやら『とちまん』の子のようです。
ダイヤ「……なんのようですか。わたくしいそがしいのです」
ちか「あ、そうだ。なんでないてるの?」
ダイヤ「な、ないてなどいません!」
ちか「え、でもないてたよ?」
ダイヤ「な、ないてません……」
ちか「……????」
ちかは心底不思議そうな顔をした。
ちか「うーむ」
少し唸ってから、
ちか「わかった」
そう言って、
ちか「いたいのいたいのとんでけー!」
おまじないを唱え始めた。
ダイヤ「えっと……」
ちか「いたいのとんでった?」
ダイヤ「わたくしはけがをしてないてたわけでは……」
泣いてる=怪我をしたという短絡的な帰結はある意味子供らしい。
ちか「やっぱりないてたの?」
ダイヤ「……」
……もしかして、この子実は頭がいいのでは?
わたくしは泣き顔を見られるのはやっぱり悔しいので思わず顔を伏せた。
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