30: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2019/01/03(木) 19:27:36.34 ID:p8Id/7Jt0
開墾のための道具と雨水を貯める容器を作り、土を耕して種を植える。それを繰り返して日々を送る。
オートマトンの私とは違い、彼女たちにはかなりの重労働だろうに、三人とも献身的と言っていいぐらい熱心に手伝ってくれた。
「どうして、私を手伝ってくれるんですか?」
ふと思い立って訊ねてみる。
「私たちは呪われてるんです」
作業中のホタルさんが、私に背を向けたまま言った。
「人を殺すために生み出されて、それすらもできないうちに捨てられました。じゃあ私たちは……私は、なんのためにこの世に生まれたんでしょうね?」
返す言葉が見つからず、私は沈黙してしまった。
「ずっとずっと、なんで私は生まれたんだろう、なんで私はまだ生きているんだろうって思いながら、生き延びてきました。そして、ヤスハさんたちを見つけました。人間は地上では生きられませんから……こんな体に生まれたからこそ、私たちはヤスハさんのお手伝いができるんですよ」
だから、と言って、ホタルさんが振り返り、ひかえめにほほ笑んだ。
「どうか、私たちが生きたことに、意味を与えてください」
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