71: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/29(月) 00:17:03.96 ID:uFnZQdOAo
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城のように絢爛な社屋、広大な敷地、すれ違う女性たちは皆、菜々も一度は目にしたことのある有名人。
見るもの全てが彼女を圧倒する。
ここが芸能事務所――今までいたような、薄暗い場所とはまるで大違いの、まさに芸能界の“表側”。
自分が今日からここの一員となることがにわかに信じられない。
「そ、それにしても……まさか芸能プロダクションのプロデューサーさんだったなんて……もっと早く言って下さいよぅ」
「だって聞かれなかったんだもん」
菜々はツカツカと廊下を進むプロデューサーに慌ただしくついていきながら、通り過ぎる事務所内の景色を右と左と眺めては驚嘆の声を漏らしていった。
その度によぎる小さな疑問を、思い切ってプロデューサーにぶつけてみる。
「……なんでスカウトして下さったんですか?」
「面白かったから」
「おっ、面白かった……?」
──確かにここに居るような、正統に人気を集められる本物のアイドルに比べれば異質で風変わりな自覚はあるけれど。
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