34: ◆XUWJiU1Fxs
2019/04/25(木) 00:55:13.12 ID:cgXM4cARO
 「いい景色だったね」 
  
 「はい。あなたと見たこの光景を私は忘れないと思います」 
  
 「俺もだよ」 
  
  大観覧車でふるさとを吹いた子なんて長い歴史を見ても彼女が唯一無二だろう。相乗りしていた人たちしかわからないけども、ゆかりはこの国のちょっとした歴史に名前を残したんだ。 
  
 「っと、村松さんから連絡が……もしもし? ええ、本当ですか!」 
  
 「どうかしましたか?」 
  
 「カバンが見つかったって! 中身も無事だったみたい」 
  
 「!」 
  
  村松さんが言うように、ウィーン警察は優秀だった。観覧車に乗っている間に置き引きされたカバンを見つけたのだから。しかも中身も無事ときた。実にラッキーだ。 
  
 「良かったぁ……」 
  
  ゆかりは心の底から安心したみたいにベンチに座る。 
  
 「もう荷物から目を離すんじゃないよ?」 
  
 「はい。身を持って理解しました」 
  
  かくいう俺も気を付けないとな。こんな幸運、二度とあると思えないし。 
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