【バンドリ】さあやとサアヤの話
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:39:50.33 ID:YWfCY9A20


 それから約二十分後のことだった。コンコン、という部屋の扉がノックされる慎ましい音を聞き、ぼんやりと物思いに耽っていた沙綾はベッドから身を起こす。

「えっと、どうぞ?」

 多分ここは自分の部屋なんだろうけど、まだイマイチ確証がもてなかった。曖昧な返事を扉にすると、すぐにガチャリとそれが開かれる。そして、

「さ、沙綾ちゃん、大丈夫!?」

「え?」

 パッと部屋に飛び込んできたのは、見覚えのない女の子だった。

 歳は沙綾と同じくらいだろうか。少し茶色がかった髪の毛は肩甲骨の辺りまで伸ばされていて、頭のてっぺんと耳との間くらいで、ネコミミのようにこんもりと丸く盛られていた。

 まるで香澄の髪型みたいだな、なんて思っていると、続いてもう一人の人間が部屋に入ってくる。

「あーもう、そんなに慌てなくても多分大丈夫よ。どうせ寝ぼけてるだけでしょ」

 やれやれ、と今にもため息を吐きそうな表情のその人物も、沙綾と同じくらいの歳の女の子だった。綺麗な金色の髪をツインテールで括っていて、前髪は眉毛の上あたりで切り揃えられている。肌の色も白くて綺麗だ。

「ど、どこか調子悪い……? 熱とかない? 大丈夫?」

「え、えっと……?」

 香澄に似た髪型をした女の子は、愁眉をあつめた顔で沙綾に詰め寄る。それに沙綾が困惑したような態度で返すと、いよいよ泣き出してしまいそうに顔が歪んでいく。

「はいはい、心配なのは分かるけど詰め寄んないの。ごめんね、騒がしいのを連れてきちゃって。本当はあたし一人で来るつもりだったんだけど途中にバッタリかすみんと出くわしちゃってさ」

 そんな女の子の首根っこを捕まえて、今度は有咲に少し似た女の子が沙綾の前に躍り出た。それにもやっぱり沙綾は首を傾げるしかなかった。



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