20:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:46:29.00 ID:VZdRWGZA0
「ここは……どこですか?」
「言葉は話せます。意識は戻ったようです」
ベレー帽の女の子は、その質問には答えずに状況報告に務める。彼女は、シンジの寝ているベッドの横に座り、通信機器で外部と連絡を取っているようだった。この場所が病院でないことは容易に想像が付いた。なぜなら、シンジの両手、両足はベッドに拘束され、ベッドの四隅に銃を構えた軍人らしき男達が立っていたからだ。
「確か……綾波を助けて……」
シンジは過去の記憶から今の状況に繋がるまでの道筋を探そうとしていた。
「はい……どうやら記憶の継続性も認められます」
ベレー帽の女の子は、シンジの様子を見て通信先の人物に彼の状態を伝えてゆく。
「あの……綾波は?」
シンジは、まだ半分寝ぼけたような声色でベレー帽の女の子に問いかける。
「これが誰か、わかりますか?」
ベレー帽の女の子はシンジの質問を無視して、彼の顔を被っているディスプレイを反射モードに切り替えた。
「……僕、ですけど……」
シンジは、自分の顔が反射して映るディスプレイを自信の無い表情で眺めながら言った。
「自己認識もあります。問題なさそうです」
ベレー帽の女の子は、シンジの反応だけを観測して淡々と報告を続ける。
「……なんだ?」
シンジは自分が置かれた状況を一切把握できなかった。その横では、機械的にシンジの状態を確認するベレー帽の女の子の声が聞こえていた。
「尿意や空腹感はありますか?」
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