【エヴァ】シンジ「すべてを受け入れようと思う」
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40: ◆o6rtSmOlPg[saga]
2019/06/05(水) 12:19:51.39 ID:783j3mkZ0
青白い光。真っ白なシーツ。何もない病室。足下から天井まで、壁一面にガラスがはめ込まれた窓からは、光が溢れていた。その空間は、一人が寝るためにしては、やけに広いかった。
シンジはそこでうなだれていた。
ベッドの足下には、鈴原サクラが立っていた。胸に抱えるバインダーの背表紙には『極秘』と書かれたファイルが挟まれている。

「碇シンジさん、これから定期健診があります」

敬語の中に関西弁のイントネーションを交えシンジへ次の行動を促す。
無機質でいて殺風景な鉄の塊で出来た通路の中を進んで行く。シンジがネルフ本部でいつも歩いていた通路。空に浮いている船という点を除けば似ていると言えなくもない。

「あ、あの……」

シンジは、進行方向を無言歩くサクラの横顔を伺った。しかし、気に留める様子のないサクラの姿に、なかなか話を切り出すことができない。
そうこうしているうちに、通路を抜けた甲板の窓に光が差し込む。

「海……血の色」

シンジたちの目の前に広がったのは、クレーターがいくつもある無残な姿でえぐれた大地と、余波が刻まれた地質の谷間と、その先に広がる空と血の色に染まる不気味な赤い海だった。特に会話のないまま急勾配の階段を下って行く。

「一体、何があったんだ……」

シンジは、自身に残る記憶の世界の面影に重ねながら、荒廃しきった光景を眺めていた。
その時、ふいに視線を感じて甲板の上に目をやる。

「……ん?」

シンジが見上げた先には、少女が笑みを浮かべ手を振っていた。改2号機の修繕作業を見届けていたマリだった。彼女は、シンジが気がついたと察すると指を口元に添えて、投げキッスの動作を行った。

「えっ!?」

純情な反応で顔を真っ赤にしてしまうシンジ。一連の流れを終えた所で、マリは意味有りげな視線をシンジに向け、お互い見つめあう形となっていた。
シンジは、無意識のうちに見入っていた。

誰だ?
知り合い?
そういえば、どこかで――。

「碇さん! よそ見して、階段踏みはずさんといてくださいね!」

頭の中の靄が晴れそうな刹那、サクラからの警告によって思考は中断された。


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