46: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:29:31.59 ID:9pdDfgPfo
彼女と知り合い、触れ合って、すっかり仲良くなったエミリーは瞬く間にその子の魅力にとり付かれた。
そしてその子が帰国する日になり、別れ際、エミリーは泣きじゃくりながらわずかに覚えた片言の日本語でお礼を述べると、その子はこう返したという。
「いつか立派な大和撫子になって、日本に来なさい」
──そうすればまた会ってあげるわ。
エミリーは、そこから人が変わったように自分の意思で猛勉強を重ねるようになった。
日本舞踊の稽古にも本腰を入れ、より深く日本の文化を知るようになり、
今の自他共に認める大の日本好き、エミリー・スチュアートへと成長した。
そして十三歳になり、父親の仕事についてくる形でついにこの国へやってきたのだ。
自分を少しでも本物の大和撫子に近づけるために──
エミリーの父親から話された内容は、まとめるとそのようなものだった。
「……やっぱり努力家だったんだな、エミリー」
「当たり前でしょ。 みんな普通に喋ってるから凄さが分からなくなってるのよ」
伊織が呆れるように言った。
「逆の立場で考えてみなさいよ、アンタが十三のときにイギリスで外国人に囲まれて仕事なんてできた?
おまけにシェイクスピアみたいな英語で喋るのよ」
「──想像もできない」
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