【ミリマス】私という撫子の
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10: ◆DbvMVEE3z2[sage saga]
2019/06/16(日) 00:15:15.85 ID:RAUxaTtJ0
 次に入った部屋で見たのは、家の中で見たことのある器に似たなにかだった。いつかお父さんに教えてもらった気がする。
 確か、Toukiだったような……。合っているかを確かめるためにその単語を口にするとさっきまで笑顔だったお父さんの頬が溶けそうなほどに緩んでいた。
 展示品に当たらないようにゆっくり歩いていると、一つのToukiが視界に入る。なぜだか惹かれた。

『家にあるのと似てる……』

 思わず指を差したそのToukiは家の棚の一番上に飾られているものと同じに見える。夏の海の奥に似た色をした器。
 誰かが使っているのを見たことはなかったけれど、やけに綺麗な色だったから記憶の中にあったのだ。
 お母さんは私の手を繋ぎながら指の先にあるToukiを見る。

『そうね。家にあるのはお父さんがNihonに行ったときに買ってきたものだから、よく似ているのかもしれないわね』

 お母さんの言葉でお父さんはNihonに行ったことがあるのだと初めて知った。だからよく知っているし好きなのだろうか。
 こうしてNihonのものを見ているけれど、いまいちお父さんが目を輝かせる理由はわからないまま。

 見ていくうちにどうやらToukiは家で普段使っている食器とはまた違うものなのだと気づいた。それらは家の食器と違って茶色や緑色で濃い色もあって模様も多くはないのに、だけどなんだか心が落ち着くような。
 
 今回はお父さんの方が先に進んでおり、部屋の出口付近で私たちを待っていた。転ばない程度に少し駆け足で向かう。



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