◆きみが身体をみつけたら
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1:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:47:59.73 ID:2+eK45Jl0

『入れ替え』という能力は、
私生活を過ごすにあたって、とても便利だ。

力を行使する際の手順は、(1)−(3)に従う。

(1)入れ替えたいものを頭に思い浮かべる
(2)入れ替え先の対象を目視で確認する
(3)入れ替えを念じる

要するにとても簡単なやり方で、この力は使うことが出来る。



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2:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:50:16.58 ID:2+eK45Jl0

たとえば買ったばかりのアイスクリームを地面に落としてしまった時、
僕は『入れ替え』を使うことでこれを取り戻すことができる。


以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:51:57.54 ID:2+eK45Jl0

これが終わったら、次に(2)のプロセスに入る。

目的の対象は、正面の形が見える位置にあるのが好ましいが、
外形が捉えられていれば横向きであっても特に問題はない。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:52:42.51 ID:2+eK45Jl0

後は(3)で示した通り、念じるだけでいい。

僕は『入れ替え』を行使する。
するとどうだろう、僕の手元にはまっさらのアイスクリームが現れる。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:54:21.07 ID:2+eK45Jl0

 * 

「ねえねえ、ちょっと聞いてくれない?」
柏木さんはそう言って、にこやかに白い歯を見せる。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:55:39.58 ID:2+eK45Jl0

柏木さんは、先ほどよりもひとつ声のトーンを落とす。

「ほら、隣のクラスの蒼井さんだよ。蒼井明衣さん、知ってるでしょ」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:56:51.11 ID:2+eK45Jl0

そういうと、ふたりの男女は、こちらに顔を向けた。

「話聞いてたよな」
佐々木は誰にも好かれそうな好青年のような笑みを浮かべている。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2019/06/18(火) 23:59:21.46 ID:2+eK45Jl0

「なんだそれ、うける」
僕の返答に佐々木は笑っていたが、
柏木さんの顔は強張ったままだった。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:02:32.14 ID:qOvrccx90

蒼井明衣は、学内でも有名な女の子だった。
おそらく、良い意味でも悪い意味でも。

彼女は、人よりも際立って目立つ容姿を兼ね備えていた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:03:53.81 ID:qOvrccx90

彼女が包帯を巻いて登校するようになったのは、
たしか、梅雨入りのころはずだ。

実を言えば、僕は彼女と通学時間が重なっており、
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:05:11.14 ID:qOvrccx90


今では、彼女は「高嶺の華」という扱いを受けている。

最も、それは薔薇のようなものなのかもしれないけれど。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:06:00.15 ID:qOvrccx90

「まあ、どうでもいいことだな」
 
僕は、裏庭のベンチに深く腰掛けた。
ここは日が当たることもほとんどないので、
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:07:11.88 ID:qOvrccx90

「いいか、小林。コミュニケーション能力ってのは、
社会に出るためには、確実に必要になるスキルのひとつなんだ。

つまりは、僕はそういうのが欠落してんだろうな。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:07:37.82 ID:qOvrccx90

「さて、今日もお前に飯をやろう。いいか、よーく見ておけよ」
 
小林の好物は、丸々太った金魚だ。
そいつらは、裏庭のため池の中で悠々と泳いでいる。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:08:20.48 ID:qOvrccx90

すると、小石はその場から消え失せ、
代わりにびちびちと、地面で跳ね回る金魚がそこに姿を現した。

僕はしたり顔で小林の頭を撫でた。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:08:53.78 ID:qOvrccx90

裏庭に人がやってくることは滅多にない。
それは、このため池も関係していた。

不自然に建てられた歪つなフェンス。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:10:37.10 ID:qOvrccx90

そういうわけで、僕は完全に油断をしていた。

そう。ここに人が立ち寄るなんて、滅多にないことなのだから。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:12:13.42 ID:qOvrccx90

「なんでもないって言うのは無しだからね。

私、ちゃんと見ちゃったから。説明してもらえるかな。

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:13:46.36 ID:qOvrccx90

「ぜんぶ、見たのか?」

「うん。ぜんぶ、ね」

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:14:22.63 ID:qOvrccx90

蒼井はぽすりとベンチに腰をかけた。
その腕には包帯が巻かれてある。

「座りなよ、ここ」
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2019/06/19(水) 00:15:03.14 ID:qOvrccx90

「どこ行くの?」

「帰るんだよ」

以下略 AAS



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