3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/06/19(水) 23:22:01.73 ID:ikHTZENWO
「高木さん、すごい汗だよ」
いつものように僕をからかって。
少しだけ、笑顔になったけれど。
彼女の、可愛らしい丸い額には。
冷や汗で前髪が張り付いている。
僕は思わず、それを取ろうと手を伸ばして。
「西片……?」
「っ……なんでもない!」
即座に手を引っ込める。
危ないところだった。
この状況で女の子に手を伸ばすなんて。
誰がどう見たって、誤解される。
慌てふためく僕を見て、彼女はくすりと笑い。
「西片、手を出して」
「えっ?」
「こうしてると、落ち着く」
きゅっと、細い指先で僕の手を握る高木さん。
あまりのことに、反応が出来ずに硬直。
そして、伝わる彼女の指先の冷たさに気づく。
「高木さん、手が冷たい」
「ごめん、嫌だった?」
「そ、そんなことはないけど……」
「じゃあ、西片があっためて」
たぶん、今、僕の手は熱いくらいだろう。
頬の熱と同じように、火照っている筈だ。
だからすぐに高木さんの指先も温まった。
「ほんとにありがとね、西片」
僕でも彼女の役に立てたことが、嬉しかった。
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