10: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:27:28.59 ID:hRYw497E0
トレーナーさんの怒号のような指摘と、あたしたちのダンスシューズがレッスンルームの床と擦れて鳴る音だけがひたすら響く。
そんな時間を三時間余。
音楽プレイヤーの吐きだす曲の終了と同時に、あたしたちは床へ倒れ込んだ。
「よし、良いだろう。合格点だ。今日はここまで」
トレーナーさんのその号令を受け、「あー」だとか「うー」だとか、そんなような思い思いの呻き声を上げる。
「各自給水と、しっかりダウンを行うようにな。それじゃあお疲れ」
なんとか息を整えて必死に「お疲れ様でした」の一言を喉から搾り出す。
こうして、地獄のレッスンは幕を閉じたのだった。
汗を吸い込みに吸い込んだシャツはべっとりと体にはりついて重い。
これ以上はどう頑張っても無理です、とでも言うかの如く、持ってきたタオルは拭き取れる汗の限界を随分前に迎えていた。
「あー、しんどかったッス……」
「奈緒ちゃんも比奈ちゃんもお疲れ様です……。私も三途の川が見えました……」
「あはは。でもホンっト、今日はしんどかったなー」
「いや、奈緒ちゃんこれ冗談とかじゃなくて、アタシとたぶん美優さんもガチっスよ……」
「奈緒ちゃん、流石高校生の体力、という感じですね……」
突っ伏したまま動かない二人を「でもクールダウンはしないとー」と、起こし雑談を交えながらクールダウンを済ませる。
その最中に、比奈さんの携帯電話がメッセージの受信を告げ、それを確認した比奈さんは「あ、もうお迎え来たみたいなんで、早いとこシャワー浴びて先上がるッス」と言って足早に帰ってしまった。
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