塩見周子「Everything(It's you)」
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1: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:29:28.01 ID:Y0XQqU7d0
モバマスSS。地の文風味。
ミスチルの同曲をモチーフとした既婚者Pと周子のお話です。
次から投稿していきます

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2: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:30:07.86 ID:Y0XQqU7d0

 ──何を犠牲にしても守るべきものがあるとして。
 あたしにとって今、貴方がそれにあたると思うんだよ。

 愛すべき人よ、貴方に会いたい。
以下略 AAS



3: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:31:37.58 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 Pさんとの出会いはあたしにとって衝撃的だった。
 守るべきものがなく、夢も持たず、ただの文字通りの旅路の果てであった東京で、あのように出会ったのだから。
以下略 AAS



4: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:32:11.76 ID:Y0XQqU7d0

 しかし現実は非情だった。
 結構あると思っていたへそくりの諭吉さんは意外とおらず。
 仕事をしようにも住所がないと面接にすらありつけず(正確には京都にあるが……)
 そうこうしている内に今日泊まる宿すら無くなっていく。
以下略 AAS



5: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:32:46.24 ID:Y0XQqU7d0

 途中で何人かから声をかけられたが、全部無視する。
 声をかけてくる連中は足元を見てる。こんな奴らについていったら大変なことになるのが目に見えてる。

 逆に何人かに声をかけてみた。
以下略 AAS



6: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:33:34.35 ID:Y0XQqU7d0

 どれほど、そうしていただろうか?
 いっそここで一夜過ごすのも悪くはない。そんな風に思っていたら、急に声をかけられた。

「大丈夫ですか? どうかしましたか?」
以下略 AAS



7: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:34:31.88 ID:Y0XQqU7d0

 永遠に思える沈黙。彼の回答次第であたしの運命が決まる。
 どっちにしたって最悪だろうが、よりマシな方を選びたいというのが人情だ。

「……分かった。お前を"買った"」
以下略 AAS



8: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:35:13.64 ID:Y0XQqU7d0

「アイドル事務所の……プロデューサー……?」

「あぁ、そうだ。簡単に言えばアイドルになってもらいたい。そういう意味で『お前を買った』と言った」

以下略 AAS



9: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:35:52.58 ID:Y0XQqU7d0

 そこで彼は左手の薬指を右手で撫でた。

「──俺の家には嫁さんがいるもんでな……」

以下略 AAS



10: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:36:29.93 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 結局その日は本当にホテルへ泊まった。勿論一人で。
 翌日、ホテルを出ると昨日の彼があたしを待っていた。そして二人で彼の事務所に向かった。
以下略 AAS



11: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:37:11.57 ID:Y0XQqU7d0

「周子は何でもできるな! 流石だ! アイドルの才能があるじゃないか?」

 そうやって手放しで喜んでくれるPさん。その姿を見て嬉しくならないはずはない。
 誰かから褒められるなんて、今までの人生の中でなかなか無かった出来事である。
以下略 AAS



12: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:38:02.85 ID:Y0XQqU7d0

 多分、その頃が一番幸せな時間だったのだろう。
 そういう時こそ、大切なことが解りづらくなってしまうのである。
 どうして気づかなかったんだろう。

以下略 AAS



13: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:38:46.72 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 あたしが異変に気が付いたのは、実は特にきっかけがあるわけではなかった。
 ただ急に、自覚して、『あぁ、なるほどなぁ……』と納得しただけである。
以下略 AAS



14: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:39:17.03 ID:Y0XQqU7d0

 そんな人がずっと一緒に傍に居たら、好意を持つのは自然なことだろう。

 しかも相手は命の恩人なのである。
 もしPさんと出会わなかったら、今頃どこかの風呂で仕事をしてるか、顔にも脛にも傷がある男の愛人にでもなっていただろう。
以下略 AAS



15: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:39:45.64 ID:Y0XQqU7d0

 つまるところ、結局あたしはそんなPさんに惚れたのだ。
 命を救ってもらった上に、今の生活の大部分を占めている存在なのだから、これはごくごく自然なことだった。
 まぁ、他に身近な適齢期の男性もいなかったことだしね。
 だからこそ、あたしもそう自覚しても『あぁ、なるほどなぁ……』で済んだのである。
以下略 AAS



16: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:40:26.69 ID:Y0XQqU7d0

 そんな日課のような内省を行いながら、今日も事務所へと向かう。
 Pさんに車で現場に送ってもらうためだ。

 駐車場で見慣れた車を見かけ、それに乗り込む。
以下略 AAS



17: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:41:10.71 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 そんな感じで、あたしは心中に秘めたる思いを抱きながらアイドル活動を続けていった。

以下略 AAS



18: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:41:48.76 ID:Y0XQqU7d0

「周子、シンデレラガール、本当におめでとう! 流石は俺が見込んだ周子だ。周子も頑張ったな!」

「いやーそれほどでもー、って言いたいとこだけど、結構頑張っちゃったかな? でもPさんが支えてくれたからこそだよ」

以下略 AAS



19: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:42:15.48 ID:Y0XQqU7d0

 そう、それはあたしが恋してしまうくらいにはね。
 既に別に好きな人がいるPさんを好きになってしまうくらいには。

「うーん……そういってもらえるならプロデューサー冥利に尽きるな。でも今回はやっぱり周子が頑張ったおかげだと思うぞ」
以下略 AAS



20: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:42:44.53 ID:Y0XQqU7d0

「じゃあ、デートしてよ」

「は?」

以下略 AAS



21: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:43:15.53 ID:Y0XQqU7d0

 たじろぐPさん相手に、畳みかけるように無慈悲な一言を伝える。

「それとも、これ程度でも『出来る範囲』じゃない?」

以下略 AAS



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