善子「それでも私は■■を愛して生きていたいのです」
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27:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:35:15.52 ID:gGVI8GvBO
〇〇××、87歳。死因、老衰。

一目見て、「白い」と感じました。皺だらけで、シミがかった肌なのにも関わらず、生気が抜けた様子が白に思えました。

肉が付いているのに、骸骨の様だった。姿形は生きている人間とまるっきり変わらないのに、この体が動き出す様子が全く想像できませんでした。
以下略 AAS



28:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:35:59.63 ID:gGVI8GvBO
なにも、驚くほど心が揺れなかった

もはや、純粋な死への嫌悪はなくなってしまったのかもしれません、身近な家族や友人の死なないことを願っていたか弱い少女はもうここにはおらず、ただ自らの消滅を恐れる心のみが私を構成しているようでした。


以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:36:38.11 ID:gGVI8GvBO
「ふふっ、こんにちは」

善子「…………」

「どう?今日も苦しんでる? 死にたくない気持ちで溢れかえってる?」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:37:04.62 ID:gGVI8GvBO
「物わかりの悪い私に例え話をしてあげる」

「押すと50万円が確定で貰えるボタンと0か100万かの50%のボタンがあるわ。で、どちらか片方しか押せない、ってなったら殆どの日本人は50万を選ぶわ」

善子「なにそれ、今までの話と何の関係があるの」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:37:38.98 ID:gGVI8GvBO
「人は、いつか、自分の苦しみが全て取り払われるんじゃないかって思い込んでいるの。幸福になる事よりも、自分の身に哀しみが来ないことを必死に願っているの。不幸が大嫌いなの」

「でもね、いるのよ。どうにもその身に悲しい事しか起こらない、生きているだけで災難にしか巡り逢わない、『不幸の星』に居るとしか思えない人間は確かに存在するのよ」

善子「……何が言いたいの」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:38:14.61 ID:gGVI8GvBO
次の日はずっと、憂鬱だった。

あっさりと「アイツ」が消えたのに、まだ、心の中に深い霧がかかった様になっている。

善子「……」ボーッ
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:39:17.72 ID:gGVI8GvBO
ダイヤ「夏休みの練習予定を決めますわ!」

部活の時間になっても、私は変わらず鬱蒼としていた。

ホワイトボードにダイヤが円グラフの描かれた紙を貼りつけている。それを基に皆が意見を出し合っているが、中身がちっとも頭に入って来ない。
以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:40:24.21 ID:gGVI8GvBO
やめて。お願いだから、その言葉を言わないで。

果南「大丈夫だよ、千歌、そんな簡単に人は死なないって」

そうだ、人は簡単には死なない。でも、いつかは訪れる必滅の裁き。
以下略 AAS



35:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:41:24.67 ID:gGVI8GvBO
善子「あ…………」

やってしまった。

みんな、目を丸くしてこっちを見ている。
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga]
2019/07/21(日) 04:41:58.21 ID:gGVI8GvBO
バスを待っている間も、揺られている最中も、家に駆けこんだ後も、頭の中が白く漂白された様で全く何も考えることが出来なかった。

何かを考えなければならないのに、何も頭が働かない。ただぼーっと、日々やってきた動作を繰り返しているだけだった。

これから先、私はこのようにして生きていかなければならないのか。
以下略 AAS



37:名無しNIPPER
2019/07/21(日) 04:42:34.23 ID:gGVI8GvBO
「……ぅぇ……ひっ……ぐすっ……」

ひとりになったら、両の目から涙が溢れてきた。

泣いても何も変わらないのに、ただただ、涙が溢れて止まらなかった。
以下略 AAS



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