5: ◆vlTFewOdSQ[saga]
2019/07/21(日) 10:35:14.77 ID:D/ABzthS0
「僕はここだよ」
さっきよりも自分に近いところで声が聞こえた。それも私の真後ろ。その声でまた驚いた私は後ろに飛び上がりながら振り返った。
にこ「何よ、誰もいないじゃない!」
人の姿を探しても、初めに見た景色が広がっているだけで誰もいない。それどころか人の気配までしない。でも確かに自分の真後ろで声がした筈だ。何かがいる筈だと思った私は森の奥の方へ目を凝らした。
その時、私の膝の辺りに何かが触れた。
「だからここにいるって」
にこ「きゃっ!」
私はまた後ろに飛び退いた。驚いた拍子にバランスを崩して倒れてしまう。私の膝に触れたのは白いウサギだった。ウサギは二本足で立って、私の事をまるで品定めするかのように見つめている。足から腰、そして顔に視線が移った時にウサギは喋り出した。
ウサギ「あなたがにこさんですね?」
にこ「そうだけど、どうしてアンタが私の名前を知ってるわけ?」
ウサギ「私は物知りですからね! 他の住人よりもいろんなことを知っているんですよ!」
目の前のウサギは人の私でも分かるくらいのドヤ顔をしながら仰け反った。別に私は私の名前を知っている事に対して凄いとは思わないんだけど?
にこ「ふーん。それで物知りなウサギさん、さっきアンタが言っていたのはどういう事?」
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