1:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:16:15.72 ID:Ob8vgikR0
  
    
  ミーンミーン…  
    
    
  
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:17:24.73 ID:Ob8vgikR0
   
  ーほらPさん、もう少しですよ。頑張ってください。  
    
  もう、そんな情けないことを言っていてはダメですよ。……し、仕方ありませんね。では…。あの、早く……え。何って、手を繋ぎましょうということです。私が連れて行きますから。さあ、ほら。  
    
3:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:18:40.19 ID:Ob8vgikR0
  
 …こほん。では、改めて進みましょう。もう少し登ったところです。 
  
 …え? ええ。この辺りは昔からおじいちゃんによく連れてきてもらったんです。ほら、水の流れる音が小さく聞こえませんか? いつかPさんと私とおじいちゃんの3人で釣りをしたあの川です。あの川の源流がもう少し先にあるんです。 
  
4:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:19:35.90 ID:Ob8vgikR0
  
 …? 嬉しそうに見えます、私? ……そうですね。嬉しいかも、しれないです。 
  
 それはそうですよ。アイドルとして、いつもPさんに手を引かれているのですから。たまには私の方がPさんを連れて行くんです。 
  
5:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:21:05.70 ID:Ob8vgikR0
  
 …いつも言っているではないですか。私はワンちゃんではありませんよ。何故だか、私をそう扱う方は多いですけど。 
  
 え? …ああ、そういえば、目的を言っていませんでしたね。ピクニック…とは、少し違うかな…? 
  
6:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:21:39.16 ID:Ob8vgikR0
  
 どんな人、ですか…それは…少し答えに困りますね。少なくとも、とても優しい方なのだろうと、私は思います。 
  
 …ほら、水の音、少し強くなってきたでしょう? もう少しです。……あ、ここ、少し滑りやすいので気をつけて。さあ、私の手をしっかりと握って…よっと…。ふふ、お見事です。 
7:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:23:33.02 ID:Ob8vgikR0
  
  
 ーさあ、着きましたよ。 
  
  
8:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:24:40.36 ID:Ob8vgikR0
  
 恩人の方ですか? ……ええ、いますよ。今も。…Pさん、Pさん。上ではありません。下です。あ、ほら、こちらです。 
  
 …そうです。このお地蔵さまが、私の恩人なんです。…くすっ。確かに、いきなりそう言われてもどういうことかわからないですよね。……ここ、影になっていて涼しいですし、お昼ご飯にしましょうか。おにぎりとお茶がありますよ。食べながらゆっくりと、お話しさせていただきます。 
9:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:26:26.66 ID:Ob8vgikR0
  
  
 ーあれは、私が小学生になってはじめての初夏のことだと記憶しています。 
  
  
10:名無しNIPPER[sage ]
2019/08/01(木) 00:29:35.23 ID:Ob8vgikR0
  
 元々この辺りはおじいちゃんに連れてきてもらっていたというのは、さっき話しましたよね? ですから、このお地蔵さまも私にとっては馴染み深いものでした。小さい頃の私は、お地蔵さまを「可愛らしいもの」としか捉えていませんでしたが… 
  
 この場所は、ちょうどこの山の中間地点にあたるんです。今までは身体も小さかったのでここでお地蔵さまに手を合わせて引き返していたのですけれど、その日は「肇も小学生になったんだし、頂上まで登ってみようか」という話になって、ここで腰を下ろしお昼ご飯を食べながら休憩したんです。…今の私たちみたいに、おにぎりとお茶をいただきました。 
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