85:名無しNIPPER[sage]
2019/08/09(金) 12:40:45.51 ID:+iujvg/60
「ジャスミンは何で護衛任務を?」
「えと……それは……」
ジャスミンはお爺さんをチラ見する。話していいのか迷っている感じだった。お爺さんは目敏いのか、その反応も見逃さない。
「構いませんよ」
「あ、はい……私は……メリルのヴァーダを襲名したくて……」
メリルの町にもヴァーダがあるって事は、王族や王家の奴が居るって事か。でも、護衛とヴァーダに関係性が見えない。
「つまりどういう──」
俺が言いかけた所で背後から窓をノックする音が鳴る。何かの合図なのか、お爺さんは街道から外れて停止する。
何故止まったのか困惑していたら、お嬢様は客席から降りてきて伸びをしていた。
お爺さんは客席に置かれた荷物から何かを出している。
「何だぁ…?」
「さ、さぁ……」
俺とジャスミンは訳もわからずその様子を眺める。お爺さんは折り畳みの椅子、簡易テーブルを出し、水筒?らしき物から熱々の何かをティーカップに淹れている。
お爺さんは注いだ後、お嬢様の脇の少し後ろに立つ。呆然と見ていた俺達を、お嬢様は一瞥する。
「何してるの貴方達。ちゃんと護衛として働きなさいよ」
休憩か、こんな所で。
「す、すみません…!」
ジャスミンは馬車を降りるでもなく、客席の屋根上によじ乗る。意外と大胆な事するんだな。
俺も見張りをしようと馬車から飛び降りて、広範囲の見える位置に陣取る。丁度お嬢様達が見ている方向の反対側だ。
「爺。ノース帝国までは、あとどのくらいかかるの?」
「何も無ければ明日の夕方までには。ですが、野盗や魔物の襲撃も考慮しますと、明後日になります」
「…長いわね」
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