31: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:51:00.79 ID:k2me14jR0
なぜ効き目がないのにまた結婚指輪を買えと言うのか。
プロデューサーはその理由にきっと気が付いていないはずだ。
ずっと、気が付かないでくれたらいいとすら思う。
効き目はまだあるよ。
残念ながら私にだけ効かないだけで。
上がりっぱなしの口角をそのままに目を閉じて、私は胸の内でそう呟く。
「改めて、になるんだけど」
ごほん、というわざとらしい咳払いをして、彼が言う。
「今日は引き受けてくれてありがとう」
「気にしなくていいって。これからは一番に私のこと、頼った方がいいよ」
「あはは。頼りになるなぁ」
「それは、もう。笑顔がかわいくて、気が利いて、優しい。誰かさんの自慢の担当アイドルだからね」
「ちょっと不器用、を省略する辺り、流石だよ」
彼はわざと口を曲げて、不服そうな表情を作ってみせるが、目が笑っているのを隠せていないせいから目元と口元の感情があべこべで、なんだかおかしい。
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