「我々の願いは、この素敵な道具が叶えてくれる」
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23: ◆dTsdr7bVTg[saga]
2019/08/18(日) 22:22:21.19 ID:All9ssB20
魔法使い「そうね……、極力北方の街に近い海沿いの風景がいいかしら」

魔法使い「海沿いの風景を切り取った『絵』なんて石版上に無数に掲示されているわ。この中から比較的北方地域に近い場所の『絵』を拝借して、そこに『平和な海の様子に心が癒される。魔物の本拠地は近いというのに』とか添えてつぶやけばいいのよ」

魔法使い「それを見た魔物たちは大急ぎで北方地域に引き返すわ。そうすれば、この街も、私たちも安泰よ」

魔法使い「しかも、間者の情報と食い違っていることから、魔法軍と間者の間の信頼関係が揺らぐかもしれないわね」

勇者「……おぉ〜」

戦士「たしかにその策は悪くなさそうだ」

戦士「……が、偽情報を用いるには、今回は時間が足りない」

勇者「いやいや、魔王軍が到達するまであと2日あるんだよ?」

僧侶「偽情報の取り扱いに関しても、事前の研修で説明がありました」

戦士「偽情報が魔王軍にだけ伝わればいいのだが、魔法石版のおかげで国王軍の末端兵士にまで瞬時に伝わるのだ」

戦士「軍として正規の情報や指示と、それに反する偽情報を同時に得た軍は規律を守れない」

僧侶「そのため、偽情報を用いる場合は、まず国王に内容を伝え、それを幹部会議で吟味し、そこで問題無しと判定された場合は、偽情報が流れる旨を国王軍の下士官まで周知し、それが確認できてから拡散することになってるんです」

魔法使い「はぁ〜!?」

勇者「国王軍の下士官にまで偽情報である旨を周知って、そこに魔王軍の間者がいるかもしれないんだぞ!」

僧侶「ですから、偽情報は難しいかと……」

勇者「ああもう、あれは駄目、これは駄目って、どうしろと言うんだ!」

戦士「国王軍が来るまで待てと言ってるであろう」

勇者「要するに何もできないって事じゃん! なんなんだよ!」


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