139: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/23(水) 02:13:38.90 ID:0ARiWsal0
だから、知覚できない以上は、この世界は平和なのである。麻雀に興じられる程度には。
そうなのだろうか? そうなのだろう。それは随分と利口な――「お利口さん」な判断のように思えてしまって仕方がない。
姉さまの、諦念に満ちた笑顔が、脳裏にちらつく。
誰かを救うために自らを犠牲にする必要はないと提督は言った。普く正しさを凝縮したような言葉。ただし、それは後藤田一という男の言葉ではないように感じた。あくまでCSARを預かる「後藤田提督」の言葉なのだと。
本心はなかったとしても、蓋し至言ではある。私だって誰かの身代わりになりたくて入隊を希望したのではない。
自分の手に余ることを望んでも零れ落ちていくばかり。それもまた後藤田提督が私に言ったことだ。過去や未来、あるいは期待や誇りを胸に抱き、人は死地へと飛び込んでいく。しかしできないことはできない。高潔な志は最後のひと踏ん張りを与えてくれるが、互いの力量差をひっくり返すほどではない。
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