86: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 01:00:17.75 ID:a3VuJV360
「……ん」
勢いよくグラーフが立ち上がった。膝の上から本が床に落ちるが、彼女はそんなことお構いなし、一目散に駆ける。
「え、なっ! どうしたんですか!」
「召集だ」
私のところには何も――いや、私は最早無所属、どこの通信網からも漏れている。きっと母艦「しおさい」に構築された基地ネットワークで、彼女たちにしか届いていない。
グラーフの発した言葉は端的で、ゆえに全貌の把握が容易だというのはなんとも不思議な話である。時間的猶予がないこと。彼女たちの任務。
即ち、CSAR。
「待ってください」
「なんだ」
息を吸う。吐く。
心は平静だ。驚くほどに、澄み切っている。
「私も出ます。出させてください」
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