魔術師「探偵業はじめました」剣士「消えた恋人を探せ!の巻」
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1: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:29:41.77 ID:tDrZnMap0
魔術師「貨物船が魔物の襲撃に遭って全滅ねぇ...」ペラリ

剣士「それって今日の新聞?」

魔術師「ああ。最近はこういった話題が多いよなぁ。物騒な世の中になったもんだ」

剣士「なんでも、『魔王軍』って自称する魔物達がのさばってきてるらしいね」

剣士「魔王様の名の元に世界征服をしようとしてるってもっぱらの噂だよ」

魔術師「世界征服って...お伽噺じゃねーんだから」

剣士「ま、普通はそう思うよね。でも王子によると、結構おおごとになってきてるんだってさ」

魔術師「ふーん。あんまり実感湧かねぇなあ」ペラリ


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2: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:33:38.22 ID:tDrZnMap0
カランカラン...

記事を読むのもそこそこに紙面をめくる魔術師の耳へドアベルの音が届く。

魔術師「お、依頼人かな。僕は先にこの新聞を片付けるから、剣士は応対よろしく」
以下略 AAS



3: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:34:18.93 ID:tDrZnMap0
【応接間】

魔術師「さて。コーヒーを飲んで一息ついたところで、早速本題に入ろうか」

青年「実は僕、一昨日に彼女へプロポーズしたばかりなんです」
以下略 AAS



4: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:35:01.99 ID:tDrZnMap0
青年「彼女の家に行ってももぬけの殻ですし、彼女は早くに両親を亡くしているらしいので家族へ連絡をとることもできません」

青年「憲兵に言っても相手にしてくれる訳もなく、途方に暮れていたときにこの探偵所を見つけてお訪ねした次第です」

魔術師「ふむ...それは不可思議だな。ところで、お前って魔法は使えるのか?」
以下略 AAS



5: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:35:59.41 ID:tDrZnMap0
魔術師「まぁとにかく、その彼女について詳しく聞かせてくれ」

青年「はい!ええと、彼女と僕は海の見えるロマンチックな公園で出会ってどちらからともなく話しかけて仲良くなってそれからそれから」ペラペラ

魔術師「別に馴れ初めは聞いてねえ」ビシッ
以下略 AAS



6: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:36:33.79 ID:tDrZnMap0
青年「そうですね...彼女は歌が好きで僕もよく聞かせてもらうんですが、プロポーズしてからは物悲しい歌ばかり歌っていたような気がします」

剣士「それは妙だね。たぶん俺だったら幸せな恋の歌ばっかり歌うのに」

魔術師「ふむ。他には?」
以下略 AAS



7: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:37:02.12 ID:tDrZnMap0
魔術師「じゃあ僕は中辛で。福神漬けも付けろよ」

剣士「はーい…って流されないからね!?自分の夕食は自分で作ってよ?」

魔術師「ちえっバレたか。そういやお前ってまだ士官学校の学生寮に住んでるんだったっけ?」
以下略 AAS



8: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:37:35.16 ID:tDrZnMap0
剣士「それはともかく、最近のニュースは…」

剣士「今朝は魔術師さんもご存知の通り、魔物が貨物船を襲撃したニュース」

剣士「昨日は山道で怪我をして動けなくなった人をとあるハーピーが助けたニュース」
以下略 AAS



9: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:39:03.90 ID:tDrZnMap0
青年「昨日の記事なら僕も見ました。こういったとき咄嗟に人助けできるのってかっこいいですよね」

魔術師「人間とは違って翼を持ってるから、こういう救助活動は得意なんだろ」

青年「翼のあるなしなんて関係ないですよ。人間だろうがハーピーだろうが吸血鬼だろうが、困っている人を見逃さずに手を差し伸べるのって素敵じゃないですか!」キラキラ
以下略 AAS



10: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:39:36.40 ID:tDrZnMap0
魔術師「ま、これぐらいでいいか。あとは君と彼女さんの住所を教えてくれ。何かあったらそこに連絡しよう」

青年「わかりました!まず僕の住所は...」



11: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:40:03.47 ID:tDrZnMap0
青年が帰ったあと、探偵所にて。

剣士「恋人の失踪かぁ。いなくなってからまる一日経ってるとすると、最悪の事態も考慮しなくちゃね」

魔術師「だな。新聞で見た通りの物騒な世の中だし、誘拐ってセンも捨てきれねぇ」
以下略 AAS



12: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:41:01.35 ID:tDrZnMap0
【彼女の家前】

剣士「はぁ...疲れた...」

魔術師「まさか馬車から降りて一時間も歩く羽目になるとはな...」ゼエゼエ
以下略 AAS



13: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:42:23.27 ID:tDrZnMap0
剣士「へー。近くにその人たちが居ればいいんだけど」

魔術師「お前、帰り道は送ってもらう気満々だな?」

剣士「だってこんな獣道、もう歩きたくないよ」ハア…
以下略 AAS



14: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:43:10.55 ID:tDrZnMap0
【家の中】

魔術師「一見普通の部屋だが...」

剣士「なになに?もう何か見つけちゃった?」
以下略 AAS



15: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:43:36.18 ID:tDrZnMap0
剣士「魔術師さん、この扉ってどうやって開けるの?さっきからビクともしないんだけど」

魔術師「なに?...ふむ、どうやら魔法で施錠されてるみたいだ」

魔術師「ちょっとややこしいが、これぐらいなら無詠唱でぱぱっと開けられるぞ」スッ
以下略 AAS



16: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:44:20.07 ID:tDrZnMap0
魔法で施錠されていたドアを開けると、そこには非常に大きな水槽が鎮座していた。

まるで水族館のように、大小様々な種類の魚が海藻と共に悠々と泳いでいる。

魔術師「アクアリウムか?やけにでかいな」トンッ…
以下略 AAS



17: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:45:13.21 ID:tDrZnMap0
剣士「それにしてもこのアクアリウム、本当に大きいね」

魔術師「さっきの剣士じゃないが、僕一人入っても十二分に余裕のある大きさだな」

魔術師「まるで海そのものを飼ってるみたいだ」
以下略 AAS



18: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:45:47.84 ID:tDrZnMap0
魔術師「別に水槽作りは恥ずかしい趣味じゃないだろ」

剣士「乙女心が分かってないなあ。もしも魔術師さんに恋人が出来たとして、
『私、アクアリウムが趣味なの?』
っていきなりどでかい水槽を見せられたらどうする?」
以下略 AAS



19: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:46:23.60 ID:tDrZnMap0
剣士「他になにか妙なものはあった?」スタスタ

魔術師「こういう時に一番怪しいのはタンスやクローゼットの中とかなんだが」スタスタ

魔術師「失敗したな…引っ張ってでも青年くんを連れて来れば良かったぜ」
以下略 AAS



20: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:47:04.83 ID:tDrZnMap0
魔術師「い、いやでもやむを得ない事情だとしたらOKか?開けちゃっていいのか?漁っていいのか?下着とかも見ちゃっていいのか?」ブツブツ

剣士「駄目だよ魔術師さん!俺たちは信用商売だから!そんなことしたら二度と依頼人が来なくなっちゃうから!」

剣士「いくらモテないからって最後の一線は越えちゃ駄目だ!」グギャッ
以下略 AAS



21: ◆m6oSrzv57o[saga]
2019/09/07(土) 20:47:35.95 ID:tDrZnMap0
魔術師「“つい”で迷わず僕にアッパーカットをかますとはな…」フラフラ

魔術師「ちょっとした…冗談のつもり…だったのに…」バタン

剣士「わー!魔術師さーーん!!」アセアセ
以下略 AAS



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