12: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:20:40.39 ID:wEDTEyMZ0
「……ふぅん? 見た目は何だか冴えないわね」
そうして沈黙が破られた時には、彼女は"周防桃子"ではなくなっていて。
「でも初々しさは合格かしら? 若いってそれだけで価値があるし、
果物にしても何にしても――やっぱり採れたて、瑞々しいのが外れなく美味しいんだもの」
艶めかしく口元を飾る五本の指が、
俺の頬に這わせられる柔らかな掌が、
こちらを見下すようなその眼差し、歳に似合わぬ傲慢な口調、
含み笑いを絶やさぬ堂に入った迫真の演技――。
そうだ。
桃子と相対する俺には持てる全ての技術をもってして、
彼女は彼女の描く理想の"妖艶"を表現しているように見えた。
……しかし、そんな演技が真に迫れば迫る程に、
桃子の変えられない見た目と演技のギャップの幅は広がり続け。
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