高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2019/11/17(日) 19:01:13.18 ID:i6ln0z2d0
店内に流れる音楽が途切れるのと同時に、店員さんは一礼して去っていきました。
去っていく店員さんの背中を、目で追います。テーブルの真ん中手前側に置かれたココアから、甘い香りが漂ってきました。
しばらくすると、流れる音楽の種類が変化します。自然の音によるヒーリングソングから、オルゴールのアレンジソングへ。
これ、どこかで聞いたことがある――なんて耳を澄ませて、曲名を思い浮かべるのと同時に、時計の針が大きな音を立てました。
1時を示す穏やかな音楽は、オルゴールアレンジのポップとは少しズレてしまって、楽譜を知らない子どもが演奏する曲のようになってしまいました。
カウンターの向こうで、店員さんががっくりと項垂れています。新しい試みは失敗に終わってしまったようです。
店員さん、ドンマイです。次に来た時に、綺麗に合った音が聴くことができるといいな。
わずかに湯気がたちのぼるカップ。目を閉じると、鼻の少し下のところを香りが通っていくことがよく分かります。
少しだけ口から息を吐き出して、私はティースプーンを手に取りました。
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