高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:53:12.70 ID:i6ln0z2d0
加蓮『なにかあったの?』


藍子から返信が来る前に、店員さんが抹茶ラテを持ってきた。1人分をお皿に載せて、私の顔をちらりと見て、それから私の正面、誰も座っていない空席を目の端で捉える。
私は苦笑する。遅刻、って言おうとして、遅刻って言うのはあんまりよくない言葉だなって気付く。けど代わりになる言葉がなくてぱちくりと瞬きをしていたら、店員さんは一瞬だけ目を瞑って一礼した。
去っていく店員さんの背中を目で追う。テーブルの真ん中手前側に置かれた抹茶ラテから渋い香りが漂ってくる。


藍子『すぐに向かいます!』


おや、と首を傾げて、たぶんスマフォを3回くらい見返した。
何か焦ってるっぽい?
それに、私は何があったのか聞いたのに藍子は答えてくれない。会話が成り立っていない。
そのことにちょっとムッとなって、指先に力を込めてメッセージを送ろうと思った。

薪が燃えて弾けるような音がする。
実際に薪を燃やしている訳ではなくて。そういう音楽が流れてる。
いわゆるヒーリングってヤツ。本能が落ち着く音とか映像が収録されたもの、ときどきCDショップでも見かけるよね。
耳を澄ませば聞こえるかどうか、ってくらいの音が、耳ではなく肩から胸の辺りから入ってくる。胸中に生まれていた小さなイライラを鎮めてくれる。


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