291:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 03:46:26.29 ID:Hn+oLRjQ0
 「すっごく、良い感じだよ」 
  
  首を傾け、ニコッと微笑むお嬢様に、私は首を傾げた。 
  
 「すっかり欲張り屋さんになって、楽しそう」 
  
  
 「……まったくです。一体誰のせいでしょうね」 
 「えへへ、さぁ〜?」 
  
  とぼけるお嬢様に嘆息していると、呼び鈴が鳴った。 
  
  噂をすれば、だ。 
  先ほどお嬢様が仄めかしたであろう、私を変えた人達――予定より、ちょっと来るのが早いようだ。 
  
  
  ドアスコープを覗き込むと、未央さんと志希さん。 
  誰かに引っ張られたのか、彼女達がそこをどくと、黒いアイツの周りに皆が並んでいるのがかろうじて見える。 
  もちろん、アーニャも一緒だ。 
  
  まだパーティーの準備は4割も終えていない。 
  些か不本意で恐縮ではあるが、これから先は皆にも手伝ってもらうとしよう。 
  どうせアイツがいるのだ。料理を作り過ぎるなどということは無い。 
  
  多くを与え、受け取ってくれる人。 
  今日の私の誕生日だけでなく、これからも私の主観でもって共にいてくれる皆を、すぐにでも出迎えたくて――。 
  
  私はドアを、つい勢いよく開けた。 
  
  
 〜おしまい〜 
  
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